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「草子」だけど男子ボクサーです 那須川天心の“練習仲間”牧野が全日本初戦突破

[ 2021年11月25日 16:20 ]

ボクシング全日本選手権第2日 ( 2021年11月25日    東京・墨田区総合体育館 )

全日本選手権男子フライ級初戦を突破した牧野草子
Photo By スポニチ

 20試合が行われ、男子フライ級2回戦で19年国体同級3位の牧野草子(そうし、自衛隊)が滝澤栄吉(日大)に5―0で判定勝ちし、27日の準決勝へ進出した。1メートル56と小柄ながら、長身サウスポーを相手に鋭い踏み込みからの右ボディー、カウンターの左フック、右ショートフックを次々と当て、初出場の全日本で初戦突破。「内容にこだわっていたのでうれしい初勝利ではないけど、勝ててよかった」と汗をぬぐった。

 小4から中3まではキックボクシングに取り組み、中1、2と「藤原敏男杯」全国大会で2連覇を達成。経験者の父・和博さん(43)にマンツーマンで指導を受けたが、父の仕事が終わったあとの夜10時から公園や駐車場で練習していたため、警察に注意を受けることもあったという。中学時代は週1回、“神童”那須川天心(23=TARGET/Cygames)のジムにも通い、一緒に練習。那須川とは階級が異なるため試合での対戦はなかったが、毎回実戦練習で手合わせをする間柄だった。先日は帝拳ジムへ出稽古した際に「5年ぶりぐらいに」再会。「お互い頑張ろう」と声をかけあったという。

 高校受験を機に一度は競技をやめたが、朝霞西高入学後に東京五輪開催が決定したことに加え、キックでは不得手だったパンチを磨くためにボクシングを開始。ボクシング部がなかった高校で1年間かけて選手登録し、たった1人の部員として1年間だけ活動して全国高校選抜3位で3位に入った。推薦入学した中大では世界選手権ウエルター級金メダリストの岡澤セオン(25=INSPA)が3学年上の主将で、自衛隊では同じく世界選手権バンタム級金メダルの坪井智也(25)や東京五輪女子フライ級金の並木月海(23)と一緒に汗を流し、刺激を受けてきた。

 「草子」という珍しい名前は文学好きの母親がつけたもので、「物語の始まり、という意味」だという。学校では国語教師でも「そうし」とは呼んでくれず、女子と間違われるなど「最初は嫌だった」が、「下の名前で呼んでもらえる」と今は気に入っている。将来はボクシングだけでなく、キックボクシングでもプロ転向の可能性を示唆した“二刀流”だが、まずは初の日本一が目標。これまでボクシングでは3位が最高成績とあり、「次に勝てば決勝進出。優勝しか考えていない。(24年)パリ五輪も今大会を取らないと見えてこない」と意気込んだ。

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2021年11月25日のニュース