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新王者の矢吹正道は進退保留のままも好条件なら「考えます」 世界王座獲得から一夜明け

[ 2021年9月23日 14:39 ]

緑ジムの(左から)村上マネジャー、加藤トレーナー、矢吹正道、松尾会長(緑ジム提供)
Photo By 提供写真

 22日のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチで10回TKO勝ちし、新王者となった矢吹正道(29=緑)が激闘から一夜明けた23日、オンライン会見に臨み、今後について「そこまで何も考えていない。きのう言った通りです」と進退保留の考えを改めて示した。

 前日に勝利後のリングで「勝っても負けても引退するつもりだった。でも勝ってしまったので改めて考えます」と衝撃の発言が飛びだした。試合後会見では、前王者の寺地拳四朗(29=BMB)と再戦する可能性について「別にやってもいいですけど。時が来たら」と含みを持たせた。その一方で「命を賭けて稼げる金額は決まっている。軽量級はファイトマネーが安いので命を懸けられない」と簡単には現役続行決断できない心境を説明していた。

 2人の子供を抱え、一家の大黒柱という責任感がある。「下手したら失明したり、家族がいるし、簡単には続けられない」と吐露。19年5月の試合で右手を骨折し、選手生命の危機に立たされた経験もある。「今はやりきった感がある。ゆっくりしたい」と熟考する構え。

 ただ、本人が悩む理由の一つに挙げた“稼げない”状況は変わるかもしれない。これまで防衛8度を数え“難攻不落”と言われた寺地からベルトを奪い、リングネームの由来である漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈のようなたたき上げイメージのキャラクターがあるからだ。好条件が提示されればどうするかと問われ「そうなったら考えます」と話した。

 世界初挑戦の試合限りで引退する可能性を、矢吹が事前に打ち明けたのは弟の力石政法(27)だけという。妻の佐藤恭子さん(28)にも知らせなかった。矢吹は「(妻は)“好きにすればいい”と言ってくれると思う」と夫婦の強い絆をうかがわせた。

 緑ジムの松尾敏郎会長(73)は「彼は自分の考えを持っている。僕はそれを支持するだけ」と本人の意志を尊重する姿勢だ。

 矢吹は世界王者となった22日のうちに名古屋へ戻り、自宅に帰らず所属ジム近くで過ごした。「心境?パッとしないですね。顔が腫れてるので“寝たらダメ”と言われてますから。ずっと起きてました」。サングラス着用の上、モニター越しで傷の様子や表情は判然としないものの、疲れ切った気配だった。今は何をやりたい?との問いに「バーベキュー。みんなで」と夢実現の喜びを周囲の人たちと分かち合うことを望んだ。

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2021年9月23日のニュース