TDK・佐藤龍太 外野レギュラー争いへ危機感たっぷり 高卒3年目の今季、まずは「声」で存在感示す

[ 2026年5月21日 13:00 ]

躍進が期待されるTDK・佐藤龍太
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 高卒3年目にもかかわらず、TDK・佐藤龍太は危機感と隣り合わせでいる。

 「正直、焦りはあります。これまでと同じことをやったとしても、外野のレギュラーの方たちに何も勝てない。若さを生かしたガッツのあるプレーや、他の人にはないことをやろうと思っています」

 不動の4番・齋田海斗が右翼を守り、北畠栞人が中堅のレギュラーとして攻守に躍動する。左翼では伊藤優平、前田一輝がしのぎを削るなど、外野の一角に食い込むのは容易ではない。日々の練習で技術を高めることは大前提として、佐藤龍太が自らに新たに課した役割は「声」。その思いを明かす。

 「自分に何かアピールできることがないかと考えた時に、声を出すことだな、と。都市対抗予選は試合に出ている選手もめちゃくちゃ緊張すると思う。そういう時、仲間に声をかけてベンチに必要だと思われるようにしていきたい」

 野球のベンチワークにおいて、声を侮ることはできない。グラウンドに立つ仲間を鼓舞し、ベンチ内の雰囲気を大いに盛り上げる。劣勢に立たされれば、その重要性は大いに増す。

 22年から3年連続で日本一に輝いたトヨタ自動車も、声が大きな転機となった。20、21年と都市対抗で2年連続初戦敗退。巻き返しを期す上で、レギュラーではない選手も自分にしかできない役割を追求するようになった。試合前、声出しでナインの士気を高めたのが高橋優(現野球部広報)。「グラウンドに立たなくても、みんなと日本一を目指して戦うことはできる。僕の試合前の声出しをチームの武器にしよう」と決意し、盛り上げ役に名乗りを挙げた。

 その一方で、高橋は自分自身の中で一つの約束事を決めていた。それは選手として、今まで以上に高みを目指すこと。「練習をいい加減にしているヤツが声を出したところで、仲間に響くものは少ない」。23年からは従来のスイングを捨て、縦振りを習得。最後は左の代打として重宝されるまで打力を高め、24年を最後に現役を退いた。

 私心を捨て、仲間のために何かをやり遂げるためには人間力が問われるが、佐藤龍太は高校時代の3年間で人間力を養ってきた。秋田県大館市立下川沿中の出身。地元の強豪校に進学するはずが、左投手としての素質を見いだされ、名門・花巻東(岩手)から声がかかった。

 「最初は自信もなかったですが、設備を見て挑戦しようと決めました」

 同校は甲子園大会に春夏通算19度の出場を誇るが、勝利至上主義ではない。その指導方針は「野球選手を育てるのではなく、野球もできる立派な人間を育てる」というもの。野球を通して生き方や考え方を学び、仲間たちと“岩手から日本一”を目指している。高3夏には背番号11の控え投手として甲子園に出場したが、真っ先に思い浮かぶのは人間教育の部分だと言う。

 「(佐々木洋)監督さんは野球以外での私生活を大事にされる方でした。人間的な部分になるんですが、あいさつであったり、返事であったり、生きていく上で大切なことを教わりました。ずっと言われていたのが“怒られた後にこそ、人間性が出る”ということ。ミスをしてしまったら、大きな声を出すことであったり、そういう部分は今も大切にして過ごしています」

 もちろん、一歩でも外野のレギュラー陣に近づくべく、オフの期間から練習に打ち込んできた。2月の春季キャンプ中はスイング力の強化に注力。追い込まれてからの対応力を高めるべく、フリー打撃からバットを一握り短く持つなど工夫を凝らしてきた。先のJABA新潟大会では3試合とも途中出場ながら、6打数2安打の打率・333と少なからずアピールに成功した。声だけではなく、外野手としても戦力になるために――。目の前の一瞬に、今まで以上に全力を尽くす。

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