【内田雅也の追球】反対側へ4本の適時打

[ 2026年5月3日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神7―5巨人 ( 2026年5月2日    甲子園 )

3回、大山が右翼線に適時三塁打
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 試合中盤の4回表、4階記者席を降り、1階にある阪神OB室をのぞくと、江本孟紀と前OB会長の川藤幸三がいた。川藤から「いつでも来てええぞ」と聞いていた。

 この時点でのスコアは2―0。1回裏に佐藤輝明の二塁打で先制し、3回裏に大山悠輔の三塁打で追加点をあげていた。

 佐藤輝の一打は左翼線、大山のは右翼線へのライナーだった。アメリカでは路地を意味するアレー(alley)と呼ばれるライン際である。

 反対側への快打は今季、この2人に共通している特徴だと感じていた。だから「あのコースへの長打、多いですよね」と口にすると、すぐ川藤が「多いな」と応じた。

 「反対側へ打とうとすると、バットのヘッドがやや下がり、ファウルになることが多い。しかし佐藤もそうやが、今年の大山はスイングスピードが速いんで振り負けないんや。だから、反対側への長打も増えるわな」

 掛布雅之や落合博満がよく反対方向への打球が切れていかないよう、ゴルフで言うスライスではなくフックをかける打法か。大山は今季、右翼へ満塁弾も放っている。

 調べてみると、佐藤輝の二塁打14本(リーグ断トツ)のうち、反対側へ6本を数える。中堅2本、引っ張り6本である。大山の二・三塁打の内訳も反対側3本、中堅0、引っ張り2本と右翼方向の方が多かった。

 スイングスピードは分からないが、チーム内では試合前のフリー打撃から撮影され、計測されている。練習中も数値を確かめる光景を目にする。

 「大山はキャンプからずっとやってきている。しかも、練習で一切手を抜かん。全球全力で打っとるやろ。その成果よ」

 阪神の練習を最も多く見ている川藤の言葉には重みがある。そして「それに近づいてきとるんが高寺よ」と付け加えた。

 予言的中と言うか、その高寺望夢が打った。2―1と1点差に迫られた直後の7回裏、左前へ貴重な適時打を放った。1死満塁で相手投手コーチがマウンドに歩んだ後の初球、直球だった。これも反対側へ球威に負けない一打だった。前夜から幾度もフイにしてきた満塁の呪縛を解いた。続く代打・中野拓夢も反対側、左前適時打で続いた。反対側への快打は日々練習の成果だと言える。

 八十八夜。今年は2月4日だった立春から数えて88日目。キャンプからの練習が実を結ぼうとしていた。 =敬称略= (編集委員)

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