【内田雅也の追球】肝と本質がひそむ四球

[ 2026年3月4日 08:00 ]

強化試合   阪神4―5侍ジャパン ( 2026年3月3日    京セラD )

強化試合<阪神・日本代表>7回、岡本は四球を選ぶ(撮影・北條 貴史)
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 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の「強化試合」で、阪神としては難しい立場だったろう。侍ジャパンは本番3日前だが、阪神は今月27日の開幕まで3週間以上ある。調整の度合いが異なる。

 そんな複雑な事情を割り引いた上で、書こうと思うのは四球である。

 阪神投手陣が与えた四球3個のうち、2個が失点につながった。日本代表からすれば四球を得点につなげたわけである。

 3回表は新外国人カーソン・ラグズデールが先頭の源田壮亮に四球。バントで送られ、2死後、近藤健介に中前適時打を浴びた。7回表も湯浅京己が先頭の岡本和真を四球で出した。吉田正尚に安打でつながれ、2死後、森下翔太に中前2点打を浴びた。

 先に書いた通り、ラグズデールも湯浅もまだまだ調整途上で、この与四球を責めるつもりなどない。結果としての四球についての考察である。

 「先頭打者への四球は7割、失点につながる」と話していたのは阪神監督時代の星野仙一だった。統計上の実際はともかく「野球100年の教えや」と説いていた。

 阪神前監督(現オーナー付顧問)の岡田彰布は四球の重要性を説き、打者の年俸査定のポイントを上げた。日本一となった2023年、本塁打はリーグ5位でも最多得点だった背景には12球団最多の四球があった。

 それはWBCでの戦い方にも通じている。世界一となった前回2023年大会で監督を務めた栗山英樹も四球に考えを巡らせた。大会後、NHKの特別番組『マジックの継承者たち WBC栗山メモ~知られざる采配の舞台裏~』で自身のノートを公開していた。

 <3月19日 野球の肝>と題して記している。<準々決勝。メキシコ―プエルトリコ、アメリカ―ベネズエラ。ともに打ち合いになったが、最後のメキシコ、一気に逆転も四球2個。アメリカの逆転満塁ホームランも四球2個からだった。四球。ここに何か、野球の本質が隠れている>。

 日本代表は歴代最多64個(7試合)の四球を獲得し優勝を果たした。

 昨季リーグ優勝した阪神も奪った四球はリーグ最多、与えた四球はリーグ最少だった。

 阪神―日本代表。ともに調整の一戦でも四球の重要性を再認識することができた。 =敬称略= (編集委員)

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