【古豪巡礼】環境変化に部員減…停滞期を経て復権期す明石 「延長25回」伝統校の今(前編)
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スポーツニッポン新聞社では「古豪巡礼」と題し、かつて高校野球で一時代を築いた古豪の「今」に迫る。第1回は明石(兵庫)。春夏通算14度の甲子園出場、2度の選抜準優勝を誇り、1933年夏の甲子園大会準決勝では、中京商(愛知=現中京大中京)と球史に残る延長25回の激闘を演じた明高(めいこう)の現状とは――。前後編の前編。(惟任 貴信)
【古豪巡礼】延長25回球史に残る激闘を演じた明石高校の紡ぐ未来
公立校とは思えないほど広大なグラウンドで、明石の野球部員たちは汗を流していた。普段は男女ソフトボール部、サッカー部などと共用するが、試合の際には両翼90メートル以上、中堅120メートルを悠々、確保できるという。内野部分は黒土が敷かれ、バックネット裏に室内練習場も備わる。一、三塁側には屋根付きのベンチまである。県立校で、これ以上の環境を求めることは、困難に違いない。輝かしい実績、OBたちのバックアップ…まさしく「古豪」の風景が、そこにはあった。
現役部員たちはバックネット裏にたたずむ石碑にあいさつしてグラウンドへと入り、こうべを垂れて全体練習を終える。「善闘記念碑」は明石高校野球部の歴史を、最も雄弁に物語る象徴的存在と言える。33年夏の甲子園大会準決勝。中京商(愛知=現中京大中京)との延長25回の激闘を記念し、翌34年3月に設置された。以来、今まで実に90年以上にわたり、グラウンド、そして後輩たちを見守っている。
野球熱の高い兵庫県内でも“野球どころ”として知られる。JR明石駅前の明石公園内に、明石城と並び立つようにそびえる明石球場は32年開場。90年を超えた今も兵庫大会のメイン球場の一つとして、そして全国高校軟式野球選手権大会の会場として、存在感を放つ。そんな土壌にもはぐくまれ、旧制明石中は30年春に甲子園初出場。以降、春夏通算14度、聖地に立った。32、33年には楠本保と中田武雄の両右腕を擁して、2年連続で選抜準優勝、夏の甲子園大会4強と躍進。戦後も春2度、夏4度、甲子園で「AKASHI」健在を示してきた。
それが、春夏連続出場を果たした87年を最後に途絶えた。とはいえ、そこから一気に停滞したわけでもない。春の選抜につながる秋季大会は92年に準優勝して近畿大会に出場するなど、25年までに8強以上8度を数え、直近では14年に8強入りした。夏は92年8強、93年4強、04年16強。春季大会も5度8強以上に進出し、直近では12年に県3位で近畿大会に駒を進めた。だが甲子園には手が届かない。ブランク年数が伸びるほど、かつて、そのユニホームがまとっていた「強豪」のオーラは薄れていった。昨年は春の播但地区大会で初戦敗退し、夏も初戦の2回戦で敗れた。新チームも秋の播但地区大会で敗退し、県大会に進めなかった。
停滞には、総合選抜入試制度の廃止も無関係ではない。75年度から明石学区で導入された同制度では、一定以上の点数を取れば全員が公立校に合格できたが、07年度入試を最後に廃止。旧制中学の流れをくむ明石はそもそも人気が高い学校であることに加え、新たに導入された複数志願制の第2志望にも多く選択されるため、公表される倍率以上に実質倍率が高くなって入試難度が上がった。その結果、市内の有力中学生たちの入学数が減少。加えて、中学野球の競技人口減少も追い打ちをかけ、部員数は年々、減少の一途をたどった。
そして今。25年秋に結成された現チームは2年生3人、1年生17人の計20人で活動している。率いるのは、OBの松原史弥監督だ。高校卒業後、甲南大で地歴公民科の教員免許を取得し、母校へ帰ってきた。24年秋に監督就任したものの、体調不良のため一時的に退き、25年秋から改めて監督に就任した青年監督は言う。
「なんとか“明石高校で野球をやりたい”という子を増やしていけるように、魅力を発信しながら、伝統も発信しながら、いいところを、と。中学生にぜひ、ここでやりたいと思ってもらえるように活動を続けていきたいと思っています」
あの“熱”を後輩たちにも――。松原は現役時代に「AKASHI」のユニホームにかかる地元の大きな期待を、身をもって知った一人でもある。エースとして、12年春の近畿大会出場。くしくも明石球場が会場となった大会だった。「明石球場が満員になって…明石高校で野球をやっていて良かったなと。明石の温かみというのは、とても感じましたから」。満員に膨れ上がった明石球場で、OBを始めとした熱烈なファンの声援を一身に浴び、無形の力が備わった。その初戦で智弁和歌山を7―2で撃破。準決勝では藤浪晋太郎(DeNA)、森友哉(オリックス)らを擁し、その年の甲子園大会で春夏連覇を達成した大阪桐蔭に1―4で敗れたとはいえ、中盤までは互角にわたり合った。だから一層、思いを強くする。「生徒たちにも、あの景色を見せてあげたいと思っています」
=後編に続く=
▽兵庫県立明石高等学校 1923年(大12)、明石市立明石中学として創立。48年(昭23)の学制改革で現校名。硬式野球部は学校創立翌年の24年創部。30年春の選抜で甲子園初出場。32、33年春の選抜で2年連続準優勝。33年夏の甲子園大会準決勝では中京商(愛知=現中京大中京)と延長25回の激闘を演じた末、0―1でサヨナラ負けを喫した。以降も兵庫県内の強豪の一角を占めて春夏通算14度の甲子園出場を誇るが、春夏連続出場を果たした87年夏を最後に甲子園から遠ざかる。甲子園通算21勝14敗。主な野球部OBに楠本保(慶大)、中田武雄(同)、河西俊雄(阪神など)、永井智浩(ソフトバンク編成育成本部長)らがいる。現在の部員数は2年生3人、1年生17人(25年12月時点)。
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