ドジャース中島陽介トレーナーに聞いた「カーショーとの絆」「トレーナーの仕事」
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ワールドシリーズ期間中だった。10月27日の第3戦の試合前にアシスタント・アスレチックトレーナーを務める中島陽介さん(55)に、話をうかがうことができた。
一番に聞きたかったのは、中島さんとカーショーの絆だった。9月19日のジャイアンツ戦。前日の18日に現役引退を発表したカーショーは5回途中に降板し、ベンチで全員とハグを交わしていた。この時、中島さんだけは抱きかかえて持ち上げて感謝の意を示し、SNSでも大きな話題を呼んだ。
「僕は彼がドラフトにかかった時から知っているんです。彼と(当時のメンバーではカーショーの他に)ケンリー・ジャンセンとカルロス・サンタナ。この3人が現役で残っています。05、06年くらいに来て、数が少なくなってきていますよね。マイナーリーグで一緒にやっていた選手です」
中島さんは05年にドジャース入りし、ルーキーリーグからスタートした。06年ドラフト1巡目で入団したカーショーとは、20年間を同じチームで過ごし「マイナー時代から苦しんでいるところも、活躍しているところも両方を見てきました」と感慨深い表情を浮かべた。
「カーショーという男をひと言で表すと?」。こんな質問を投げかけると、中島さんは「一番、自分に厳しい。最高のパフォーマンスをするために全てをやる」と間髪入れずに答えた。「もめるのはしょっちゅうです」と語り「この方針が良いと伝えると絶対に“何でか?”と聞いてくるし、今ももめました。理由があっても自分が納得するまでやらない。いろいろなエクササイズもそう。奥さんもそう言っていますよ」と笑う。いつも本気でぶつかり合ってきたからこそ、自然と強い信頼関係が生まれた。
「午後7時くらいの試合に先発なら1時半に来て、1分1秒ごとに全部(行動を)決めています。自分が座るテーブルに全部飲み物を置いて、トイレに行く、水を飲む時間も決まっています。何を食べるかも全部決まっていますし。球場によって時計が少しズレている場合があるけど、僕らが正確な時間を表示してあげなくてはいけません」。徹底した自己管理が通算223勝、サイ・ヤング賞3度の礎となった。
「彼が現役引退を発表するちょっと前から知っていましたけど…。言ってくれて…。ちょっと寂しかったですけど。まあこういうもんですよね」。現役生活は終わったが、2人の絆はずっと続くに違いない。
では、中島さん自身は一体、どんなスケジュールで過ごしているのだろうか。その1日は長い。中島さんはナイターゲームの日は正午過ぎに球場入りし、ミーティングを終えて午後1時頃に来る選手たちを待ち受けることが多いという。
「トレーナーはマッサージだけではなく、何でもやっています。3時くらいまでけっこう忙しくて、フリー打撃後の試合開始1時間前くらいからまた忙しくなります。いろいろとコンピューターの仕事もありますから」。
シーズンが終わった後もトレーナーが球団から頼りにされる時期は続く。「ウインターミーティングくらいが一番きついですかね…体力的にも時間的にも。新しい選手(FA選手)のメディカルレビューとかパフォーマンスについてとか、午後10時~午前8時くらいまで調べものをすることもありました。一昨年は1週間で60人くらい調べましたね」。25年シーズンのドジャースは負傷者が続出したにも関わらず地区4連覇を達成した。シーズン後半からポストシーズンにかけてはスネル、グラスノーが復帰したことで先発陣に厚みが生まれ、シーハン、佐々木らが一時的に救援に回ることで投手陣全体の底上げにつながった。
「(選手が)ケガした時にどのくらいの期間、ケガをするのか、いつケガをするのか…全部ある程度調べて。それも大体、予定を立てています。その間にどういう選手を使ってピークに持ってこられるか。若い選手が(メジャーに)上がってくる可能性も、マイナーリーグから全部データを出してやっています」
野村克也氏が「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と語ったことは有名だが、ドジャースのワールドシリーズ2連覇は決して“不思議”ではない。大谷、ベッツ、フリーマンのMVPトリオの活躍、スネルの快投、山本の獅子奮迅の力投、スミス、ロハスらなど選手個々の活躍はもちろんのこと、こうした裏方スタッフの力がチームを支えている。
「来年は来年で新しいチームになりますから。1年、1年で勝っていかないといけません。ワールドシリーズが終わった瞬間に新しい選手の獲得調査をしなければいけませんから」
来季は98~00年のヤンキース以来の3連覇がかかる。くだんのウインターミーティングは12月8日(日本時間9日)からフロリダ州オーランドで開幕する。中島さんら球団スタッフたちにとってはこの時期が正念場でもある。26年シーズンに向けた戦いはこれからヒートアップする。(記者コラム・柳原 直之)
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