一時期から口にしなくなった「沢村賞」というワード プロ5年目で初受賞の日本ハム・伊藤の真意とは

[ 2025年10月29日 07:35 ]

17日のパCSファイナルステージ第3戦で快投した日本ハムの伊藤大海
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 簡単に言葉にしてしまうには、あまりに重い目標だったのだろう。本気で達成するには相当な覚悟が必要だった。日本ハムの伊藤大海投手(28)が、プロ5年目で初受賞した「沢村賞」のこと。入団当初こそ威勢良く発することも多かった目標だが、プロで月日を重ねてその重みを知り、一時期から内に秘めるようになっていた。

 特に印象的だったのが昨オフ。最多勝&最高勝率の2冠に輝いて迎える新シーズンに向け、記者が「来年(25年)の目標は沢村賞と言っても良いんじゃない?」と問うと、伊藤は「言わない。秘めておく」とかたくなだった。昨年11月末のNPBアワーズでも目指すタイトルについては「(24年に)表彰がなかった賞ですかね」と、具体的には語らなかったほどだった。

 プロ1年目のオフに掲げた目標。最近、口にしなくなった理由について問うと「入団当初は(記者に)言わされていたのかな?そういうのは内に秘めていて良い。口に出すことで発信する大事さもあるが、自分の中で自分にしっかりプレッシャーをかけてやっていればそれで良い」。決して諦めたわけではかった。

 来季から沢村賞の選考基準が見直されることになったが、今季までの完投数10や投球回200イニングはあまりにも高すぎた。それでも、伊藤は本気でそこを目指した。今季開幕前には首脳陣に「1軍完走」を直訴。先発で唯一出場選手登録を抹消されなかったのは伊藤のみで、投球回は200回に迫る196回2/3を記録するなど、限りなく基準に近づいた数字が多いことが評価された。

 高校時代は右肘疲労骨折、大学では左足首骨折と故障が多い印象だった。ただ、プロに入ってからは5年連続規定投球回をクリアするなど、大きな故障がないことが受賞につながった。「(故障しても)おかしくないぐらい投げてはいると思うんですけどね」と苦笑いも、「いろいろ考えてやってきた結果、体に負担がかからない方法とか投げ方に近づいてきているのかな」と分析した。

 21年東京五輪、23年WBC制覇に貢献。今季は2年連続の最多勝に念願だった沢村賞も獲得したが、まだ右腕は満足していない。入団からまだ成し遂げていないリーグ優勝、そして日本一の夢へ。来季、誰よりも芯の強い伊藤ならやってくれるはずだ。(記者コラム・清藤 駿太)

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