【内田雅也の追球】ピンチしのぐ向上心

[ 2025年7月20日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神4―0巨人 ( 2025年7月19日    東京D )

<巨・神>4番手で登板した湯浅(撮影・大森 寛明)
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 延長11回表に出た佐藤輝明の決勝2ラン、さらに坂本誠志郎のだめ押し2ランはともに走者一塁からの一発だった。ともに見事な一撃だった。

 ただ、0―0の均衡が続いたのはチャンスに「あと1本」が出なかったからだ。この夜、走者得点圏で7打数無安打、2四球1犠打だった。

 2度にわたる二塁走者の憤死もあった。4回表無死二塁では森下翔太が投ゴロで飛び出した。6回表無死二塁では近本光司が投前へのバント小飛球が落ちて、三塁を狙った。いずれも二、三塁間で挟殺された。

 15日の中日戦(甲子園)で森下翔太がソロ本塁打を放って以降、16日は高橋宏斗に完封を許し、23イニング連続無得点が続いたことになる。

 しかし、逆に言えば、投手陣は「あと1本」を最後まで許さなかった。この夜の得点圏での成績は12打数無安打、2四球(ともに申告敬遠)。自軍のチャンスの倍近いピンチがありながら、実に粘り強かった。これが阪神の強みである。

 「しのぎ合いのタフなゲームだった」と勝利後、監督・藤川球児は言った。先発・村上頌樹は4、5、6回のピンチをしのいだ。5回裏2死二塁で甲斐拓也を迎えた場面では、マウンド上で坂本と相談のうえ、勝負を選択したが、ベンチの指示で申告敬遠となった。投手・山崎伊織を難なく投ゴロに打ち取った。

 9回裏は湯浅京己が、10回裏はニック・ネルソンが、ともに1死二塁をしのいでいた。

 「(ピンチで)粘ってでも何とか(無失点で)帰ってくると言うね」。0―0の展開をものにし「それがうちのベース。強みですから。自分たちの野球がやれた」。6投手による零封リレーを満足そうにたたえた。

 その源を藤川は「みんな向上心を持ちながらやっている」と話した。現役時代2012年に出した著書『藤川球児のピッチング・バイブル』(日本文芸社)で当時32歳の藤川が語っている。「自分の可能性を探したいと言うか、いままでもそういうスタンスでやってきたので、これからもそういう気持ちだけは失いたくないですね。理想をもっと突き詰めていきたい」。

 監督に就いてからもこの向上心は衰えていないようだ。シーズン中も「チームを作っていく」と繰り返し、この夜も「まだまだですね」と笑っていた。 =敬称略=
 (編集委員)

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