本塁打量産で話題爆発!逆転の発想で生まれた「魚雷バット」 開発者、打つポイント「ひっくり返そう」
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大リーグの旬な話題を掘り下げる企画「MLB BUZZ」(毎週水曜日)の第2回は、米国だけでなく日本でも話題騒然の新形状の「魚雷(トルピード)バット」に迫った。先端が細く、最も太い部分が真ん中寄りで、ボウリングのピンにも似た新兵器。開発したヤンキースの主力選手たちがアーチを量産し、早くも他球団へも波及。日本でも今季中に導入する方向で進められており、一気に球界へ広がっていく勢いだ。(大リーグ取材班)
それは逆転の発想から生まれたと、48歳の開発者は明かした。今季からマーリンズのフィールドコーディネーターを務めるアーロン・リーンハート氏。名門マサチューセッツ工科大で物理学の博士号を取得。ミシガン大で物理学の教授も務めたが、野球好きが高じて18年にヤンキースに飛び込み、アナリストとして活躍した。魚雷バットの考案は22年から23年にかけて、マイナーの打撃コーディネーター補佐として選手たちと議論を重ねていた時だった。
「多くの選手は打つポイントがバットの一番太い部分ではなく、少し手前だと気付いた。なら見た目は変だけど、それをひっくり返そうとなったんだ」
最大の変化は芯の位置。通常は先端寄りだった芯が、手元に移る。これまで「詰まらされる」ことが多く悩んでいた打者には、福音として響いた。長年ほぼ固定されていた芯の位置を、ずらすという「選択肢」が生まれた。芯自体が広がると指摘する声もある。バランスが手元に移り、人によってはスイングスピードの向上も期待できる。打者ごとのミートポイントの傾向を分析し、さまざまな形状、バランスのバットを作り、試行錯誤を重ねた。バットは公認野球規則で最も太い部分の直径が2.61インチ(約6.6センチ)以下、長さは42インチ(約106.7センチ)以下と規定され、違反していないことが確認されている。昨季、ポストシーズンで球団新の7本塁打したヤ軍のスタントンの手には、既に魚雷バットが握られていた。選手ごとに調整を重ね、ヤ軍は今季の開幕2戦目で球団新の1試合9本塁打、開幕4戦で18本塁打のメジャー新記録を打ち立てた。5選手が魚雷バットを使っており、センセーショナルなネーミングとともに瞬く間に世に広まった。
一方で主砲のジャッジは、練習でも手に取ろうともしない。従来のバットで10戦6本塁打でリーグトップ。「うまくいっているのになぜ何かを変えようとするのか。今のままでいい」と言う。芯で捉える確率が高い打者には、不要な調整かもしれない。ドジャース・マンシーは早速発注し試合でテストしたが、3打席凡退後に従来のバットに戻して2点二塁打。「私には合わないかも」と明かした。
「結局のところ、大事なのは打者本人であってバットではない」
リーンハート氏はそう力説する。打者によって向き、不向きはある。ただこれは誕生したばかりの現在進行形の革命。この先どうなるか、インチの領域で競う世界の行く末はまだ誰にも分からない。
≪大谷は長尺バット慎重姿勢「今のバットで十分満足」≫ドジャース・大谷は魚雷バットの使用について、慎重な姿勢を示している。2日に「いきなり使うということはないと思います。最初から可能性を排除するということもないけど、今のバットで十分満足している。今のところは継続して今のバットを使う」と話した。今季は昨季より1インチ(約2.54センチ)長い35インチ(約88.9センチ)の長尺バットを使用。操作が難しくなる一方、遠心力でヘッドが走るメリットがある。ここまでリーグトップに1本差の4本塁打と好調に滑り出している。
≪4/5が数値上昇≫まだ10試合消化でサンプルは少ないが、ヤンキースの魚雷バットを使う5選手の平均打球速度を昨年と比較すると、ゴールドシュミットを除き上昇しているのが分かる。一方、従来のバットでアーチを量産しているジャッジは、打球速度はほとんど変わっていない。
≪清宮幸「試す」既に発注≫日本野球機構(NPB)と12球団は7日の実行委員会で魚雷バットについて協議し、ルール上使用に問題がないことを確認した。規則委員会を経て、5月の実行委で使用容認への結論を出す。日本ハムの清宮幸は既にテスト用の魚雷バットを発注済みという。「なじまなかったら今まで通りですけど。一応、試してみたいという感じです」と話した。国内の複数メーカーにも現役選手から要望が届き、試作品の製作過程を整えている。
▼松井秀喜氏 昔、ああいう金属バットありましたよね。違反ではないのなら、選手の自由じゃないかなと思います。
▼ドジャース デーブ・ロバーツ監督 歴史ある野球界でこういう変化が出ることには驚いている。ただ、競争の中で工夫を凝らすのは悪いことではない。
▼ヤンキース ベリンジャー 重量配分が気に入っている。手元の方が重いので、軽くなったように感じる。
▼ヤンキース アーロン・ブーン監督 選手たちは厳しい勝負の世界で、わずかなところで勝とうとしている。その限界まで努力することの表れだ。
▼ヤンキース スタントン とても理にかなっているから使い始めた。しかし、なぜ100年以上も誰も思いつかなかったのか?人間は習慣の生き物だからね。
▼ヤンキース ボルピ 恐らくプラセボ効果じゃないかな。太い芯を見て興奮する。精神的に0.001%でも自信になれば、役に立つ。
▼レッズ デラクルス(魚雷バットを初めて使った3月31日のレンジャーズ戦で2本塁打含む4安打7打点)感触がどうか確かめたかったんだ。確かに気持ちいいね。
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