【内田雅也の追球】バントから光る1点 「ここ一番」で成否が勝敗左右

[ 2025年3月6日 08:00 ]

オープン戦   阪神4―7中日 ( 2025年3月5日    甲子園 )

<オープン戦 神・中>2回、送りバントを決める梅野(撮影・中辻 颯太)
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 今年初めての甲子園での一戦は少々荒れた試合となった。両軍合わせて25安打、11得点。試合前まで雨が降っており、投手陣は足場の悪いなか苦労していたようだ。

 ただ、打線で見れば、阪神は14長短打を放つなど活発だった。今年はキャンプ中からよく打ち、練習試合、オープン戦を合わせ6試合中5試合で2桁安打、計75安打を放ち35得点を奪っている。目下12球団トップの打撃力、得点力である。

 「例年、2月や3月の初めは投手上位が普通なんやが……」試合中、OB室で出会った前OB会長、川藤幸三も不思議がっていた。全くその通りの早期開花である。

 ただし、打線は水物である。今の好調さがそのまま公式戦まで続くとは限らない。いや、むしろ波があるなら、反動も来ると考えていた方がいいだろう。

 その点で言えば、この日両軍で唯一の犠打を記録した2回裏の2点目を取り上げておきたい。

 この回先頭、前川右京の掛布雅之を思わせる左翼ポール際へのソロ本塁打でスコアは1―3。連打で無死一、二塁とし打席は梅野隆太郎だった。

 初球、捕手前に送りバントを決め、1死二、三塁をつくった。梅野はバントがうまい。一塁手の前進チャージが視界に入っても、難なく決めた。

 続く高寺望夢は二塁左にゴロを転がし、三塁走者を迎え入れたのだ。

 本塁打や適時打が乱れ出るなか、バントと内野ゴロで奪った1点は光って見える。監督・藤川球児は試合後「打線がつながりましたね」と話したが、バントからの1点はつながりの成果だった。

 直前の2回表、相手中日も同じ無死一、二塁、打者が8番捕手の場面で送りバントを仕掛けたがファウル、ファウル、空振りの三振で失敗に終わっている。後の暴投や二塁打で守る側として相手の失敗をつけなかったのは残念だった。

 プロ野球では年々、犠打数が減少している。それでもなお、本番の「ここ一番」ではバントの成否が勝敗をも左右する。

 前監督・岡田彰布の時代、「恐怖の8番」と呼ばれた木浪聖也は今春から7番を打つ。捕手の梅野や坂本誠志郎は8番に入る。優勝した2023年、犠打は8番が21個で7番の16個より多かった。つまり、8番打者のバントは大切な戦法だと言える。 =敬称略=
 (編集委員)

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