豪華投手陣擁する健大高崎で「野手は落ちる」と言わせたらアカン Bチーム率いる小谷魁星コーチの使命

[ 2025年2月18日 22:42 ]

選手時代は一塁手として甲子園で活躍した小谷コーチ、健大高崎の伝統を選手に伝える(撮影・柳内 遼平)
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 アマチュア野球の指導者に采配やチーム運営などについて、インタビューする企画「指導者の思考法」。第2回は第97回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)で連覇を目指す健大高崎(群馬)の小谷魁星コーチ(27)。全国から逸材たちが集う名門でBチームを指揮する重責を担う。(聞き手・柳内 遼平)

 逸材を見定めるスカウティング、分業制のコーチングで選手を育成し、24年選抜で同校初の甲子園優勝を成し遂げた健大高崎。公式戦を戦うチームのボトムアップ、次代の選手を育成する役割のBチーム。決して、単純な「スタンド組」という位置づけではない。

 「翌春の選抜出場チームが決まる秋に結果を出せるかは、Bチームでの頑張りに懸かっていると思っています。ここ数年、Bチームでずっと一緒にやってきた子たちが(最上級生になって)甲子園でプレーできてうれしい。“成長したな”って親心みたいな感情。冬から翌年の秋にかけて長期的にチームを強化するイメージですね」

 昨春の選抜では左腕・佐藤龍月、右腕・石垣元気の2年生コンビが優勝に導いた。夏以降は制球力にたける大型左腕・下重賢慎が急成長を遂げ、最速144キロ右腕・島田大翔、七色の変化球を駆使する左腕・山田遼太も自力をつけてきた。昨秋の新チームがスタートした時点で「投手力は全国トップクラス」と称されるほど層は厚かった。

 「新チームを迎える前から投手中心になることは分かっていました。それに1個上の代には箱山、田中、高山ら有力野手がいましたから“健大高崎の新チームは引退した代と比べて野手が落ちる”と見られると嫌でした。一緒に練習してきた身として(野手も)戦える子たちと思っていたので“絶対、勝てるように練習せなアカンで”と言いましたね。勝つにには練習するしかないですから」

 チームが甲子園出場を果たした昨夏、試合のないBチームは猛練習に励んでいた。夏休み期間は午前中から走者をつけたケースノックを2時間以上も行い、機動力、守備力の両面を磨き抜いた。猛暑の中、有酸素運動と筋トレをローテーションするサーキットトレーニングで肉体改造にも励んだ。甲子園入りしたAチームがコンディション重視の調整にあたる中、Bチームはメキメキと力をつけていた。「本当によく練習しました。小堀、栗原中心に“ヨッシャ!俺らの代で選抜行くぞ”みたいな雰囲気があって、一緒にやっていて楽しかったし、この感じならいけるぞと思いました」。予感は的中した。「黄金世代」の引退後、新チームは秋季群馬大会を制し、関東大会は準優勝で選抜出場の当確ラインを突破。さらに練習試合でも39勝1敗と圧倒的成績。真夏の猛練習を耐え抜き、最上級生となった二塁手・杉山翔大、三塁手・伊藤大地らが先輩たちに劣らない姿を披露した。

 Bチームには、次世代の選手だけではなく、Aチームに一歩届かなかった最上級生もいる。部員数の多い強豪校だからこそ、時にはモチベーションを失ってしまう選手もいる。だからこそ、伸び盛りの選手を見逃さない眼が必要だ。「情報共有は密にしていますね。良い動きやプレーは(青柳監督に)伝えるって常々、選手に言っています」とメンタルマネジメントを重要視。Bチームに属する選手の追い上げがなければ、Aチームの成長鈍化にもつながる。

 さらにBチームは「健大高崎の選手として試合に出る資格」を取得する場でもある。バントや中継プレーなどなど基本タスクはもちろん、伝統の「機動破壊」として知られる足技、守備、試合における状況判断、そして相手への敬意やチームへの献身など内面に関する事項も伝授する。「健大高崎といえば、スライディングや盗塁のイメージだと思いますが、あくまでそれは枝葉の部分。技術もそうですし、内面においても太い幹、根っこを育てたい」。たとえ、高校時代に大成できなくとも、大学野球、社会人野球など次のステップに進む選手の財産となっている。

 忘れられない景色がある。一塁手としてプレーした健大高崎時代の3年春、初めて踏みしめた甲子園の景色に圧倒された。「今、思い出しても鳥肌が立つくらいにすばらしかった。自分が感じた感動を1人でも多くの選手に味わってほしい。だから毎年、甲子園に行きたいんです。それが仕事の原動力」。いつの時代も変わらない輝きを放つ大甲子園。選抜の開幕は3月18日、ちょうど1カ月後に迫った。(柳内 遼平)

 ◇小谷 魁星(こたに・かいせい)1998年(平10)2月9日生まれ、大阪府高槻市出身の27歳。健大高崎では一塁手として3年春、夏に甲子園出場。甲子園通算成績は5試合に出場し、11打数5安打で打率・455、2打点、2盗塁。中大では準硬式野球部に所属し、卒業後は健大高崎でコーチ。地歴、公民科教諭。尊敬する人は両親、健大高崎の青柳博文監督。

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