田淵幸一氏 DeNA・今永は頼もしい大黒柱 江川ほうふつの投球術 サインに首振り狙い球絞らせず

[ 2023年7月8日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA2-1巨人 ( 2023年7月7日    東京D )

<巨・D11>7回、力投する今永(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 【田淵幸一 視点】今永はそんなに力感はないが、ゆっくりしたモーションから腰がくっと入って直球が手元で伸びてくる。岡本和との対戦は見応えがあった。

 2回の第1打席は直球勝負で左中間スタンドに運ばれた。第2打席はカーブとカットボール、チェンジアップを駆使してフルカウント。6球目も変化球でかわすかと思ったら152キロの直球。最初の打席、直球を痛打されたことで最後は打たれた球と同じ直球勝負と決めていたと思う。この球はファウル、7球目のチェンジアップを挟んで、8球目に内角膝元にズバッと152キロ。会心の見逃し三振だ。第3打席は6回2死二塁。5番の大城卓から2三振を取っていたので、岡本和にはボール球で歩かせてもいい投球をするかと思ったが真っ向勝負。内角高めのカットボールで打ち取った。7回表に女房役の戸柱に一発が出たのも、今永が強気の投球で流れを引き寄せたからだ。

 直球も変化球も一級品。今永にはそれに加えて投球術がある。この試合では何度も捕手のサインに首を振るシーンがあった。少し古い話になるが阪神時代、江夏は巨人戦、特に王さん、長嶋さんを打席に迎えると私のサインに首を振った。記憶では7回首を振られたことがある。江夏は首を振ることで少しずつ打者の集中力をそぎながら、狙い球を絞らせないようにしていたのだ。今永も首を振り、間を取りながら相手打者の狙いを外す。15個中、7個が見逃し三振だったのも今永らしい。

 WBC決勝戦の先発を経験して今季の今永は一段も二段もステップアップ。頼もしい大黒柱になった。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年7月8日のニュース