DeNA・今永も吠えた!“バウアー魂”自己新15K 「自分に“よくやった”と」リーグトップ88奪三振

[ 2023年7月8日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA2-1巨人 ( 2023年7月7日    東京D )

<巨・D>7回、ピンチを抑え雄叫びを上げる今永(撮影・西尾 大助)
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 DeNA・今永昇太投手(29)が7日の巨人戦で、圧巻の三振ショーを演じた。2回2死からセ・リーグ記録にあと1と迫る7者連続三振。自己新で球団史上3人目のタイ記録となる毎回の15三振を奪い、自身4連勝で今季6勝目を挙げた。今季の奪三振数も88個となり、試合前のリーグ5位から一気にトップへと浮上。チームは2連勝で、首位・阪神に1ゲーム差に迫った。

 全身から感情があふれ出た。1点を勝ち越した直後の7回2死二、三塁。今永が投じた151キロ直球に岸田のバットが空を切った。普段は冷静な左腕が、何度もグラブを叩く。バウアーの気迫が乗り移ったかのように、相手をねじ伏せた。

 「戸郷投手も本当にいい投手で、引っ張られて投球ができた。最後の2つだけは(三振を)狙って投げた。自分に“よくやった”と言ってあげていい」

 WBC日本代表だった同僚との投げ合い。ギアを上げてもらったのも、侍ジャパンの岡本和だ。2回に先制ソロを被弾。「あの技術で打たれたらお手上げ」と語ったが、続く第2打席でやり返した。同点の4回1死。絶対に抑えてみせる――。フルカウントからの8球目は内角低め直球を選択。本塁打された直球を1キロ上回る152キロに、意地を込めた。

 圧巻の奪三振ショーだった。2回2死から7者連続三振。最速152キロの直球を軸に圧倒した。7回1死二、三塁での長野、岸田という代打攻勢も直球で連続三振。自己新で球団タイ記録となる毎回の15三振を積み重ねたが、うち10三振を直球で奪った背景には確かな根拠がある。

 今春のWBC1次ラウンド・韓国戦。MLB公式サイトのデータサイト「ベースボール・サバント」によれば、直球の平均回転数は2561(毎分)をマークした。昨季メジャーの左腕で1位だったマーリンズ・スコットは同2560。まさに世界トップレベルだ。

 3日の横浜スタジアムでの投手練習。20分ほどバウアーと話し込み、「終盤で球速が上がる」極意を尋ねた。超大物右腕は、回数を重ねるごとに球速がアップする。今永は「せめて2、3キロは上げたい」と食いついた。

 7回、最後の打者・岸田からの三振は、4球全て151キロの直球。「球速が149とかに落ちることがなかった」と胸を張り、教わった「投球時の股関節の屈折角度を深くして、重心を低くして投げる」を実践した。

 前日に中4日で完投勝ちしたバウアーに刺激を受けての6勝目。首位・阪神に1ゲーム差と肉薄した。「彼が勝ったら僕も勝たないといけない」。エースの矜持(きょうじ)が、歴史的快投を呼んだ。(大木 穂高)

 ≪直球空振り率 ロッテ・朗希超えトップ≫今永の直球の空振り率は先発投手で12球団トップの12.5%となった。この日15奪三振中、10三振を奪った直球の空振り率が15.5%のハイアベレージを記録。前日まで2位の12.2%だったが、ロッテ・佐々木朗の12.3%を上回った。なお、ストライク率も先発投手でトップの74.3%だ。

 ≪セ界初2度目の7者連続奪三振≫今永(D)が自己最多の15奪三振。1試合最多奪三振は95年野田浩司(オ)、22年佐々木朗(ロ)の19奪三振で、チームでは79年遠藤一彦、09年ランドルフに並ぶ球団タイ記録になった。2回2死からは7者連続奪三振。こちらのプロ野球記録は前記佐々木朗(ロ)の13連続、セでは60年鈴木隆(大洋)の8連続だが、自身7連続は20年8月1日阪神戦に次いで2度目。1人で7連続以上を2度は西口文也(西)が97年(7連続)、98年(8連続)に次いで2人目。セおよび左腕では今永が初めてだ。また、DeNAは5月18日広島戦で東が7連続奪三振をマーク。同一球団で同一シーズンに2人が7連続以上は88年長富浩志、紀藤真琴(広=ともに7連続)以来35年ぶり2度目。

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