侍・栗山監督 本気の米国を大谷と倒す 三原脩氏の墓前に誓い「先人の夢かなえたい」

[ 2023年1月30日 05:00 ]

三原脩氏の墓参りを行った侍ジャパン・栗山監督(撮影・小海途 良幹)
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 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で09年以来、3大会ぶりの世界一を狙う侍ジャパンの栗山英樹監督(61)が29日、都内で三原脩氏の墓参りをし、米国を撃破しての世界一を誓った。野球の本場でメジャーリーガーが名を連ねる強敵を真剣勝負で破ることは、日本野球界をつくり上げた先人たちの“夢”。二刀流采配を活用した名将のようにエンゼルス・大谷翔平投手(28)を最大限に生かして大願を成就させる。

 墓前に花を供え、手を合わせた。12年の日本ハム監督就任時から毎年、欠かさない墓参り。目を閉じる。侍ジャパンを率いて世界と勝負する栗山監督は例年よりも長く、天国の名将へと語りかけた。

 「“苦しくなった時に、打つ手が、方法論が必ずある。それを考え続けろ”と言われたように思う」

 三原氏は先入観を持たず、誰も使わない戦術を繰り出して監督通算1687勝。その采配は「三原マジック」と称され、短期決戦でも無類の強さを発揮した。毎年、欠かさない名将との“対話”。今回は約束した。「野球が生まれたアメリカで、アメリカに本当の勝負を仕掛けて倒す。それは三原さんたち先人の夢。その夢をかなえたい」と力を込める。

 鍵は二刀流・大谷の起用法だ。大谷が日本ハムに入団した13年1月の墓参り。栗山監督は「三原さんなら、どんなふうに使いますか?」と問いかけた。三原氏は近鉄監督1年目の68年、投手で入団した新人の永淵を野手としても起用した。それは自問自答を繰り返し、悩みに悩んだ大谷の二刀流での育成で背中を押してくれた。その大谷は海を渡り、世界的な二刀流選手に成長。今回のWBCは師弟で世界一奪回に挑む。

 米国とは順当に勝ち上がれば米マイアミで行われる3月20日(日本時間21日)の準決勝で対戦する。メジャーリーガーは所属チームの制約があり大谷の起用法も「エンゼルスと調整している」というが、仮に1次ラウンドの大きなポイントとなる10日の韓国戦に先発した場合、16日の準々決勝は中5日。春先で身体的な負担も大きく、状況次第で日本時間21日の準決勝に回る可能性はある。

 過去2大会、侍ジャパンは準決勝で敗れている。二人三脚で二刀流を完成させた栗山監督と大谷が見据えるのは、ただ一つ。「命懸けでやって(世界一を)報告に来たい」。栗山監督は、そう誓った。(秋村 誠人)

 ≪近鉄で驚きの采配 永淵投手&外野手≫三原氏は巨人、西鉄、大洋、近鉄、ヤクルトの5球団で通算26シーズン指揮を執り、歴代2位の通算1687勝(1453敗)。実績にとらわれず選手の好不調を見極め、周囲を驚かせ続けた采配は「三原マジック」と呼ばれ、誕生間もない西鉄を黄金時代に導き、6年連続最下位だった大洋を就任初年度に日本一にするなど手腕を発揮。永淵洋三を投手と外野手で起用した近鉄での采配は、プロ野球界での投打二刀流の元祖とされている。

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2023年1月30日のニュース