明大・宗山はイチローの姿を胸に成長誓う

[ 2023年1月16日 11:32 ]

昨秋の立大戦、決勝2ランを放っても淡々とベースを回る宗山
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 23年の幕が開き、東京六大学野球各校は5日の早大を皮切りに練習を再開した。昨年春秋連覇を果たした明大は、チーム初となる戦後3連覇に挑むシーズンとなる。その中心の一人となるのが宗山塁(広陵)だろう。始動日となった9日も元気に走る姿は明るく集団の先頭に立っていた。

 遊撃手として1年秋から3季連続でベストナインを獲得。昨春は首位打者、同秋は4本塁打(1位タイ)15打点(2位)に打率は・354の4位と3部門すべてで結果を出した。3年生となる今季は更なる成長が期待される。

 すでに通算本塁打は現役2位の8本。「ホームラン打者ではないから」と本人は言うが長打力に磨きがかかっているのは確か。本塁打は打者にとって最高の結果だが、宗山はベースを一周してもニコリともしない。昨秋、早大2回戦で3ラン2本を放ったときも、立大2回戦で同点の8回に決勝2ランを放っても淡々とベースを一周しただけだった。

 「常に冷静な自分でありたいんです。喜ぶ人もいるでしょうが、これがボクのスタイルです」

 宗山の心の中にあるのは映像で見たイチローの姿だった。09年のWBC決勝戦。宿敵韓国と延長戦に突入し、2死二、三塁の場面でイチローが中前に決勝打。送球の間に二塁を陥れたときだった。ガッツポーズをするわけでもなく、そこにいたのはいつものクールなイチローだった。「懐が深いというかすごいですよね。常に冷静。こんなヒットじゃ喜ばないよ、みたいな感じなんです」と続けた。

 守備でも軽快な動きで打球を処理しても、クルッと背中を見せて外野手にアウトカウントを示す。「当たり前のプレーですよ」と言わんばかりのクールさだ。「自分でも送球が安定してきて、リラックスして動けるようになってきました」と守備の要として自信を深めている。

 年末の26日から3日間、母校・広陵の寮に泊まり込んで後輩たちと一緒に汗を流した。「午前6時に起きて午前、午後も練習。高校時代を思い出して貴重な時間でした」と原点に返った。そして今年のテーマを同校・中井哲之監督から教えてもらった「他喜力」に決めた。字の通り他人を喜ばせる力だ。宗山は笑わないが攻守でチームやファンを笑顔にさせたい。そのためにも「もっと成長したい」と高いレベルを目指している。

◇宗山が残り4シーズンで更新の期待がかかる記録
 最多安打 131本(明大・高山俊)=宗山61本。
 通算打率 ・379(早大・岡田彰布)宗山・367
 最多連続3割以上 6シーズン(早大=谷沢健一)宗山3シーズン連続中
 通算最多打点 81(早大・岡田彰布)宗山35
 首位打者回数 2回(明大・広澤克実ら過去12人)宗山1回
 最多ベストナイン 7回(明大・高田繁)宗山3回(タイの可能性)

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2023年1月16日のニュース