侍・栗山監督 世界一へ「一人一人が自分の仕事をやりきれば必ず勝てる」 戦い方は“一燈照偶 万燈照国”

[ 2023年1月6日 06:00 ]

WBCへ向け新年の言葉を記した侍ジャパン栗山監督(撮影・西川 祐介)
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 侍の一燈を集めて世界を照らす――。3月にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を控える侍ジャパンの栗山英樹監督(61)が新春インタビューに応じ、世界一へイメージを膨らませた。愛弟子であるエンゼルス・大谷翔平投手(28)らも出場を表明。一人一人の“燈”を結集し、決勝で米国を倒して世界一に輝くシナリオや大会に懸ける思いなどを語った。(聞き手・構成 秋村 誠人、神田 佑、柳原 直之)

 ――ドミニカ共和国も米国と双璧?
 「そう思う。凄く強い。やばいよね。(準決勝、決勝は)分からないけど、普通に考えたらドミニカ、アメリカでしょう」

 ――過去に1次ラウンドは韓国戦が肝になると言っていた。
 「みんなが思っているのとは全然違うチーム。メジャーリーガーが来るんじゃないかと。特に韓国は米国で合宿でしょ?だから代表に入りやすくなってる。凄く強い。投手が我慢しながらチャンスで点を取って逃げ切るみたいな展開しかない。リードされていたら最後は(東京)五輪で日本戦に投げた高佑錫コウソク。五輪の時より凄く良くなっている。過去の世界大会は韓国戦がやっぱり肝になっている。きちっと戦っていかないといけない」

 ――日本はどういう戦いを?
 「それはこれからになる。例えば翔平だったらエンゼルス、ダルだったらパドレス、誠也だったらカブスとどうやって使っていいか確認し、本人とも話さないといけない。それによって戦い方も全然変わってくるので、それを確認した上で選手を選んでいく」

 ――米国に勝ちきるイメージをどの段階で完成させたい?
 「それは最後の最後だろうな。選手たちの状態、チームの状態が把握できて、どういう展開になるのか、最後の最後に浮かべば勝ちだし、浮かばなかったら苦しくなるしというだけの話」

 ――全員が照らせられればフルカラーのイメージになる?
 「こういう感じで、こうやって勝つ。こういう展開でこうなっている、というのが浮かべば相当日本の状態がいいはずなので。そこまではもっていきたいと思う。(そういうイメージで行けたら)勝ちきれるはず」

 ――いよいよWBCの年。新年の言葉として「一燈照偶 万燈照国」と色紙に書いたが、その意味は?
 「自分もそうだし、一人一人が一燈照偶。苦しいけど、片隅だけでも照らしていく。小さなところを自分の責任として照らしていけば国全体を照らす明かりになり、物事を変えられるという言葉。いきなり国を変えるとか、大きなことを言うのではなく、自分のできるところを確実に照らしていけば国全体が豊かになる。そういう組み合わせが侍ジャパンの戦い方。一人一人が自分の仕事をやりきれば必ず勝てる。まさにそういう戦い」

 ――この言葉との出会いは?
 「元々、本を読むようになったきっかけが安岡正篤さん。安岡さんの本を読んだ時、こんなに中身が分からないのは初めてだった。それが本を読み始めるきっかけで、そこに出てくる有名な言葉。集大成の勝負で、重要になると思った」

 ――米国代表のメンバーが決まってきた。戦いのイメージは?
 「年俸だけ足し算しても凄い額になる。本当に強い。全部、描いているわけではないけど、勝った瞬間に誰かがガッツポーズをしているのは何となくイメージが湧いてきている。抑えを誰がやるか決まっていないので何人か出てくるけど、ふっとそれで目が覚めたりする。やられて自分が、ガーンとなってる映像も浮かぶけど」

 ――その映像に色はついている?
 「そうだね。色はつき始めたかな。勝っている時は。相手はまだイメージできていない。マウンド上の感じしかない。でも最後まで行けばアメリカが来ると思っている。本当に精度の高い野球をやらないと勝てない。だからこそ、やっつけたいっていう強い思いがある」

 ◇一燈照隅 万燈照国 「一つの隅を照らす光も多く集まれば国全体を照らすことになる」という意味。天台宗の開祖・最澄の言葉とされる。昭和を代表する陽明学者、思想家で、昭和天皇による「玉音放送」の草案作成にも関わるなど政財界人から師と仰がれた安岡正篤は「一燈照隅 萬燈遍照(いっとうしょうぐう・ばんとうへんしょう)」と説き、国をあれこれ論ずるより、自分を誠実に照らせば、その燈は広がり、万遍なく照らす燈となるとした。

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