イチロー先生が新宿に来た!都新宿の野球部14人にサプライズ指導 文武両道、普及活動を評価

[ 2022年11月28日 05:00 ]

キャッチボールするイチローさん
Photo By 代表撮影

 マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチローさん(49)が27日、都新宿の野球部を臨時指導した。難関大学合格者を多数出す進学校で、文武両道を志す部員たち。小学生を対象とした地域での野球普及活動にも熱心に取り組んでおり、部員や学校側から請われるのではなく、イチローさん自身の意思で足を運んだ。都心の一等地にあるグラウンドはサプライズ指導に沸き上がった。

 今年初、通算5校目となる臨時指導は、前日から2日間にわたった。大都会のグラウンド。黒いパーカ、サングラスのイチローさんを確認すると、事前に知らされていない14人の部員たちは戸惑いを隠せなかった。

 「わけ、分かんないよね?(自分のことを)知っている?」。そう切り出したイチローさんがサプライズ指導の理由を説明した。

 「僕が興味があって来ました。みんなは勉強をやりながら、野球をやる時間も、グラウンドのスペースも限られている。それなのに地域の野球の普及活動を熱心にやっている」

 都新宿は18年から小学生に野球教室を行っている。グラウンドは三角形で、外野フェンスの奥は新宿御苑の森が広がる。部員たちはドコモタワーの大時計で時間を確認している。外野フェンスを越えないように、内野の半分ほどまで上空にネットを張った。他部との併用のため、フリー打撃はマウンド付近からバックネットに向かって打つなど工夫を凝らして、平日は1時間半と限られた練習時間を生かしてきた。

 実演しながら打撃練習で指導し、外野ノックでともに汗を流した。2日目は外野へ向かってのフリー打撃で105スイング。内野ノックを170球浴びせ、走塁練習で締めた。

 20年に指導した智弁和歌山は、翌夏の甲子園を制した。昨年は高松商で、今秋巨人ドラフト1位の浅野とキャッチボールをした。「面白いな~、なかなか今までにない空気が流れている」とイチローさん。「練習場からグッチのロゴ(高島屋の看板)見えるところ、ある?甲子園に行ったらめちゃくちゃ面白いよ」。限られた指導でも部員の成長を感じ取ったという。「報告が入るから、みんなちゃんとやってね。昨日、今日だけで劇的に変われた。勉強も頑張って」。興奮した部員たちだけでなく、イチローさんも新鮮な空気を思い切り吸い込んでいた。

 《田久保監督「夢のような時間」》都新宿は18年2月から、部員の出身チームや地域の小学生らを対象に「新宿ベースボールアカデミー」を開催してきた。野球教室と、保護者や監督らへ理学療法士や栄養士を呼んでケガ予防講座や栄養講座など座学も行う。コロナ下で延期が続いたが今年11月に6回目を開催。田久保裕之監督(41)は「少年野球をやってくれる子たちは宝。でもアカデミーの一番の目的は、うちの子たちが伸びるから」と説明した。「夢のような時間でした。奇跡が起きた」と感激を隠せず。「来てくださったことは、先輩からのプレゼント。次は君らがどうなっていくか、それが責務だよ」と部員に伝え、自らも夢の指導に気持ちを新たにしていた。

 ▽都新宿 1921年(大10)開校で今年創立100周年を迎えた。偏差値69前後で、東大、京大など超難関国立・私立大学合格者を毎年多数輩出する都立屈指の進学校。硬式野球部は46年に創部し、夏の東東京大会はベスト8が最高で、今夏は99年以来23年ぶりに4回戦に進出。春夏通じて甲子園出場なし。校舎は新宿御苑の西側に隣接し、グラウンドは06年に完成。出身プロ野球選手は東大を経て中日に入団した井手峻がいる。

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