パドレス・ダルビッシュ 大谷との対決お預けも…79日ぶり勝利で日本投手歴代2位の79勝目

[ 2021年9月10日 02:30 ]

インターリーグ   パドレス8―5エンゼルス ( 2021年9月8日    サンディエゴ )

<パドレス・エンゼルス>2回1死一、三塁、スタッシの右飛で生還を狙う三走・ウオルシュをタティスが好返球で阻止、ダルビッシュもファンもガッツポーズ(撮影・沢田 明徳)
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 パドレスのダルビッシュ有投手(35)が8日(日本時間9日)、エンゼルス戦に先発し、6回3安打1失点で6月21日以来、79日ぶりの8勝目(9敗)を挙げた。自己ワーストを更新していた自身の連敗を7でストップ。メジャー通算79勝目で、黒田博樹と並ぶ日本投手歴代2位となった。代打で待機した大谷翔平投手(27)は出番がなく、注目のメジャー初対決はお預けとなった。 

7日の試合前。ダルビッシュは、カブス時代の指揮官で、現在エンゼルスを率いるジョー・マドン監督と話し込み、ヒントを得た。
 「あなたはフィーリングの人だから、フィーリングの通りに投げればいい」

 助言に従い、日本時代を含めて初めて感性だけに委ねた。「打者を見るとか、していない。単純に感覚で次に投げる球を決めていた」。2回に8点の援護を受け、危なげなく6回3安打1失点で今季8勝目を挙げた。

 この日の登板前、米メディアの報道で心優しい一面が話題となった。7月19日。遠征先のアトランタで雨中のグラウンドで子供たちにサインをすると、後日、ランドン・ハリソンという名の少年の母親からSNSでメッセージが届いた。「もし雨が降らなかったらダルビッシュさんに会えなかったし、サインボールをもらえなかったと息子が大喜びしていた」。祖父母からの10歳の誕生日プレゼントとして、テネシー州から車で約3時間半をかけて球場を訪れたことを知った。

 あいにく、その試合は雨天中止。ダルビッシュはランドン君がパ軍ファンと知ると、今月4日の本拠地サンディエゴでのアストロズ戦に父親とともに招待した。飛行機、ホテル、観戦チケット代などを全額負担。当日はベンチで記念写真に納まり、主砲タティスのサイン入りユニホームなどを贈った。「誕生日プレゼントが変なイメージで終わらないようにというふうに思っていた。単純に楽しんでもらいたかった」。股関節の不調などに悩まされて勝てない時期だったが、一流大リーガーの振る舞いは変わらなかった。

 久々の白星にも「凄い苦しんでいたけれど、いざ勝ったらそんな(大きな感慨)でもないかな」と冷静だった。日本投手では歴代2位のメジャー通算79勝目。「投げている時代も、チームも、相手も全然違うので比べることは全くできない」と語る謙虚な人柄も、ファンの心をつかむ。プレーオフ進出争いが大詰めのチームに、頼もしいエースが復活した。(柳原 直之)

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