東海大菅生初8強！“強心臓”代打・多井が9回2死サヨナラ

第93回選抜高校野球大会第8日第2試合　2回戦   東海大菅生5ー4京都国際 （ 2021年3月27日    甲子園 ）

＜東海大菅生・京都国際＞9回　2死満塁　右翼線に逆転サヨナラ2点適時二塁打を放ち、歓喜する東海大菅生代打・多井（左）（撮影・成瀬　徹）
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　2回戦3試合が行われ、8強が出そろった。東海大菅生（東京）は京都国際に逆転サヨナラ勝ちを収め、初のベスト8入り。代打で起用された多井耶雲（おおい・やくも）内野手（2年）が、公式戦初打席で右翼線にサヨナラ2点二塁打を放った。

　公式戦初打席は、しびれる場面だった。2点を追う9回。1点を返してなお2死満塁で代打で登場したのは背番号18の伏兵、多井だ。2球で追い込まれても「気持ちで負けていなかった。自分で決めるつもりだった。打席で自分のモードに入った」と振り返る。4球目。打球は右翼線を破った。その勢いのままダイヤモンドを一周。ナインと抱き合った。

　大事な場面でなぜ出場経験のない多井が選ばれたのか。若林弘泰監督は「気持ちが強い子なので、そこに期待した。滑り込みでメンバー入りしたので、そういう運も加味した」と言う。栄塁唯（るい）主将も「気合で野球をするキャラです。監督に怒鳴られても逆に言い返していた」と証言する。負けん気の強さが起用理由だった。

　投手もできるユーティリティー性も評価されて大会直前にメンバー登録された2年生。なぜ、大舞台でも平常心を貫けたのか。「お父さんが結構、怖いので。ずっと厳しく指導してもらっている。気持ちは強いと思う」と自己分析した。強心臓の一振りで、チームは初の8強入り。東京勢のサヨナラ勝ちは10年の帝京が2回戦の三重戦で記録して以来、11年ぶりだった。

　名前は耶雲と書いて「やくも」と読む。「厳しく育てた」という父・昭人さん（46）がその由来について「仕事で台湾に行っていたこともあり“耶”には“イエ～イ”みたいな意味がある。雲から突き抜けるくらい明るい子に育ってほしいと思った」と説明した。一塁側アルプス席から仲間たちと笑顔で喜ぶ息子の姿を見た父は言った。「今日は私の喜びが雲まで突き抜けました」（川島　毅洋）