赤星憲広氏 阪神・井上にとって大山は絶好のお手本 見逃し方、狙い球の絞り方、直接聞いて学ぶべき

[ 2020年10月18日 07:00 ]

<神・ヤ(20)> 雨天中止となり、ファンにあいさつしながら場内を一周する(左から)小幡、井上、熊谷(撮影・大森 寛明)
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 【赤星憲広 視点】井上はいま、いい勉強をしていると思います。この日は中止でしたが、初安打を放った16日ヤクルト戦での打席では見逃し、空振りで2球で追い込まれてから、ファウル2球の後の5球目を右中間深くへ打ち返しました。

 7打席凡退だったナゴヤドームでの14日と15日の中日戦では、普通に振っていってありのままの力の差を見せつけられていましたが、甲子園では追い込まれてからタイミングの取り方を変えて対応していました。2ストライク後は明らかにどの球種も待ちながら、それでいてチョコンとバットを当てにいく打撃をするのではなく、持ち味である長打を放ってみせました。

 井上にとって、すぐ近くに大山という絶好のお手本がいることは幸運です。同じ右打ちの、同じ長距離タイプ。ファーストストライクからどんどんと振っていくスタイルも似ていますし、大山も今は追い込まれる前と後では打撃を変えられています。

 打席に立てば相手投手と1対1の勝負ですが、ベンチでも学ぶことはたくさんあります。相手バッテリーが大山をどう攻めているのか。それに大山はどういう考えをもっているのか。見逃し方、狙い球の絞り方…。カウントが進むごとに、その狙いがどう変化するのか。見て学び、そして直接、聞いて学んでほしい。

 遠くに飛ばす力は、井上が大山よりも劣っているとは思いません。足りないのは経験。1試合でも多くに出場して、1打席でも多く打席に立って、1本でも多くヒットを放って、結果を出すことはもちろん大事ですが、いま1軍にいるすべての時間を大きな打者になるための糧にしてほしい。

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