感心する西武スタッフと選手の信頼関係、打撃投手はリーグV3信じ筋力維持励む

[ 2020年4月19日 21:35 ]

西武の本拠地・メットライフドーム
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、西武は3日からチームとしての活動を自粛している。6日以降は月、火、木、金曜日が自主練習となり、それ以外は自宅待機。自主練習では濃厚接触を避けるため、参加しているのは選手のみだ。打撃投手、ブルペン捕手らのチームスタッフは、選手のサポートを行えない状況。彼らは、違った形でコロナ禍と闘っている。

 1軍に同行する、ある打撃投手は自宅待機が続く現状に「正直、不安です」と漏らし、こう続けた。「この時期、自分たちは日々の投球を前提に肩を管理する。それがなくなる。他球団の打撃投手の皆さんは、どう過ごしているんですかね」。自身は自宅でゴムチューブ、2キロのダンベルなどを使って筋力維持に励んでいるという。

 球団には8人の打撃投手がいる。シーズン中は役割分担し試合前練習に80~100球。「キャンプ中は個人練習を手伝い、1日で200から300球投げることもある」。タフマンぞろいの職場だ。記者は、3月22日の日本ハムとの練習試合以降の全体練習でも投げ続ける打撃投手陣に、頭が下がる思いで見入った。ただ、その打撃投手は「それはシーズン中と同じ感覚だから」と事もなげに話していた。

 もう一つ、新たな挑戦となるのは後ろ倒しとなるポストシーズンまでを見越した準備。「リーグV3を信じている。日本シリーズは現状なら11月末ですか。投げる気満々ですが、その時期まで(打撃投手で)投げたことがない。疲労がたまると球質も変わる。大事な時期に打ちにくい球を投げ、選手に迷惑をかけたくない」。手探りではあるが、プロとして、あらゆる状況を想定している。

 これらの言葉を聞いて鳥肌が立った。これがV2を支えた選手とスタッフの信頼関係。打撃投手陣は、11月末まで快打を浴び続けることを願っている。気軽に「今こそ肩を休めてください」と言いづらくなった。不安を抱えながら、スタッフも明るい未来を信じ、体を動かしている。(記者コラム・大木 穂高)

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2020年4月19日のニュース