世界最速左腕チャプマン 発砲事件でトレード破談も

[ 2015年12月9日 05:30 ]

チャプマン(AP)

ウインターミーティング

(12月7日 米テネシー州ナッシュビル)
 大リーグ関係者が一堂に会するオフ最大のイベント、ウインターミーティングが7日(日本時間8日)に開幕し、初日は世界最速左腕が話題を独占した。レッズの守護神アロルディス・チャプマン投手(27)のドジャースへのトレードが球団間で合意した直後に、同投手が10月に発砲事件を起こしていたことが発覚。恋人へのドメスティックバイオレンス(DV)の疑いもあり、大リーグ機構は調査に乗り出した。最悪の場合、破談となる可能性も出てきた。

 世界最速105マイル(約169キロ)左腕の衝撃ニュースが2度も会場を騒然とさせた。午前中に、ドジャースへのトレードが合意に達したと報じられ、大物の移籍に沸いた。ところがその夜に米ヤフースポーツが、10月30日に発砲事件を起こしていたと報道。DVの疑いもあり、一転してトレードは凍結された。

 報道によると、チャプマンはフロリダ州マイアミの自宅で恋人と口論に。ガレージで銃弾8発を発砲し、警察が駆け付ける事態となった。負傷者はおらず逮捕はされなかったが、その女性は取り調べに対し「首を絞められ、壁に叩き付けられた」と証言。大リーグは8月にDVなどに関する新規範を発表したばかりで「我々は調査を開始した」と声明を発表。トレードは1対2で、メディカルリポートの提出を残すだけだったが、レッズのウォルト・ジョケッティ編成本部長は「トレード成立には数週間はかかるだろう」と話した。

 ボストン・グローブ紙によると、レッドソックスは11月の交渉中に事件を知り、パドレスの抑えだったキンブレルの獲得に方針転換したという。また、FOXスポーツは、ある球団関係者の話として「事件でチャプマンが手にケガを負ったかもしれない」とも報じた。

 この日午前の時点では岩隈に続く大物の獲得成功に、ド軍のデーブ・ロバーツ新監督は「正式決定すれば、(ジャンセンと)球界屈指の抑えが2人そろう。エキサイティングだ」と喜んでいたが、最悪の場合は破談。仮に成立したとしても、出場停止などの処分が科される可能性が出てきた。(奥田秀樹通信員 笹田幸嗣通信員)

 ≪コミッショナー中心に処分決定≫大リーグ機構と選手会は8月21日に、選手によるDVや性的暴力、幼児虐待について新たな規範を発表した。仲裁、教育、調査、罰則などの規定が盛り込まれ、コミッショナーが中心となり選手の出場停止などの処分を決める。発端は米プロフットボールNFLでDV事件が相次ぎ、14年に行動規範と罰則の新設をオーナー側が認めたこと。野球界でも、最近ではヤクルト・バレンティンや、元楽天・ジョーンズらが夫人への暴行で逮捕される騒ぎに。今オフもレイエス(ロッキーズ)、プイグ(ドジャース)にDVの疑いが浮上し調査が続けられている。

 ◆アロルディス・チャプマン 1988年2月28日、キューバ生まれの27歳。05年に国内リーグでデビューし、09年の第2回WBCに出場。同年7月に亡命し、10年1月にレッズと6年総額3025万ドル(約37億2100万円)で契約。今季は65試合に登板して4勝4敗33セーブ、防御率1.63。メジャー通算は324試合19勝20敗146セーブ、防御率2.17。1メートル93、98キロ。左投げ左打ち。

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