日本復帰の松坂 開幕2カード目初戦31日オリックス戦先発濃厚

[ 2015年3月5日 05:38 ]

<神・ソ>阪神打線を相手に力投する松坂

オープン戦 ソフトバンク3-0阪神

(3月4日 甲子園)
 ソフトバンク・松坂大輔投手(34)が4日、阪神とのオープン戦で9年ぶりの日本球界復帰登板を果たした。横浜高時代に春夏連覇した甲子園で3回4安打無失点。オープン戦ながら「復帰初勝利」も挙げた。まだ試運転の状態で、投球フォームには課題が多いが、工藤公康監督(51)は一定の評価を与え開幕2カード目初戦となる今月31日のオリックス戦(ヤフオクドーム)で公式戦再デビューを飾ることが濃厚。復活を期す背番号「18」が、勝負のシーズンに最初の一歩を踏み出した。

 気持ちが入れば、松坂はギアチェンジできる。3回2死二、三塁。それまで140キロ前後だった直球の球速が一気に跳ね上がる。四球にはなったが、フルカウントからゴメスに決めにいった球はこの日最速146キロを計測。2死満塁からマートンを145キロで遊ゴロに仕留めた。

 「最後のイニング(3回)はそれまで高かった重心が下に落ちて、強く腕が振れるようになって、ボールが行きだした。いいきっかけになる」

 今季初実戦。初、2回は「ふわふわしてうまく力が入らなかった。キャッチボールの延長のような感じ。空回りしていた」と、バランスや力を入れるタイミングを模索し続けていた。

 それでも4安打、2四球を許しながら3回無失点。「一番軸になる」と語るカットボール、さらにフォークボールも封印して「実戦で投げること」を最優先に、テンポを速く投げ込んだ上での結果だった。エンドランや盗塁を決められる場面もあったが「向こう(米国)ではそういうことを神経質に考えていなかった。細かい動きをしてくれたのはありがたい」と歓迎する余裕もあった。

 連覇を達成した高校時代に持ち帰った甲子園の土は「そんなに、執着心はない」と友人らに譲り、手元にない。特別な感情を持っていないというが「いい球場。球場の広さ、雰囲気とかは、やっぱり甲子園だなと思った」と振り返った。

 甲子園のマウンドは西武時代の06年6月9日以来、3190日ぶり。阪神ファンからも「松坂、お帰り!!」とスタンドから声を掛けられ「交流戦でも強烈にやじられたことはないんですよ」と甲子園に愛された「申し子」らしく、笑った。

 「まだ先発がやりたい」

 強い思いで日本球界復帰を決めた。帰国を決断すると、憧れの存在であるイチロー(現マーリンズ)に報告に行った。「またいつかイチローさんにも対戦したいと思われるよう、しっかりやらないといけない」と気持ちを新た にした。

 3人の子供の教育を考慮し米国に住む倫世夫人と電話やメールで連絡を取る日々。「夏休みも日本より長い。米国で別々のところに住んでいるより多く会える気もする」と優しい父親の一面をのぞかせる一方で単身赴任までしてこだわる先発投手という持ち場に「結果が全て」と不退転の決意で臨んでいる。

 試合後。工藤監督は「一番最初の登板でここまで投げられれば、不安は全然ない」と話した。このまま順調に調整を重ねれば、31日のオリックス戦(ヤフオクドーム)での先発が濃厚で、松坂も「実戦、ブルペンで投げていくことで自然と状態は上がっていく」と自信をにじませた。

 ▼前回の甲子園登板 06年6月9日の阪神戦に先発し9回4安打1失点、毎回の14奪三振の力投で完投勝利。最速154キロを計測した。打っては8回にダーウィンからプロ1号となる左中間2ランを放った。「この広い甲子園で打てるとは思わなかった。ホームランは交流戦での目標だったし他のどの球場で打つよりもうれしい」と喜んだ。投打の活躍でプロ通算99勝目。大台へ王手をかける勝利だった。

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