岩村「レイズ流下克上3カ条」で初優勝に導く

[ 2011年1月4日 06:00 ]

始動日から柵越えを連発し、順調さをアピールした岩村

 5年ぶりに日本球界に復帰した楽天・岩村明憲内野手(31)が3日、母校の愛媛・宇和島東で、同校OBの中日・平井正史投手(35)らと始動。フリー打撃では柵越えを連発し、仕上がりの順調さをアピールした。今季の目標は、最下位からのリーグ優勝。08年に前年最下位の弱小レイズをリーグ優勝に導いた実績がある岩村は「レイズ流下克上3カ条」を掲げ、その再現を誓った。

 脳裏に描くのは08年レイズの再現だ。前年を含む球団創設10年間で9度地区最下位だったチームは、誰もが予想しなかった快進撃で初のリーグ優勝を果たした。その中心にいたのが岩村だった。楽天も昨季は最下位。下克上を成し遂げるには何が必要か。岩村は経験から3つの鍵を挙げた。
 (1)一体感 この日、書き初めで選んだ言葉は「絆」。今季の自身のテーマ曲も長渕剛の「絆」を選択した。「みんながつながっていないと優勝は不可能」。08年は岩村が始めたモヒカン頭を同僚たちがまね、快進撃の象徴となった。
 (2)自己犠牲 主軸として期待される今季。チームの得点力不足を解消するため「やっぱり打率3割は打たないと」と目標を掲げる。しかし、個人成績よりも優先するのはチームの勝利。レイズでも自己犠牲の精神で、大味だったチームの野球を劇的に変えた。「進塁打もそうだけど、犠牲にしないといけない部分がある。自己犠牲をして当たり前にならないと」。安打や、本塁打以外でも勝利に貢献する方法をプレーで示す。
 (3)監督との対話 レイズ時代にはマドン監督の考えに納得できず、話し合いの場を求めることもあった。疑問を直接ぶつけることでチーム方針を理解し、チームへの思いは一層強くなった。「日本は監督と選手に溝がある。もちろん監督の威厳も必要だけど、コミュニケーションを取らないと」。必要なら星野監督と若い選手の橋渡し役も買って出るが「自分の口で聞いた方がためになる。聞かぬは一生の恥」と説いた。
 「2月1日のキャンプインまでに動ける状態に。正月も緊張感を持ってきましたから」。岩村が自らの調整を進めながら「レイズ流下克上3カ条」をチームに浸透させる。

 ▽08年レイズの大躍進 07年は66勝96敗で地区最下位だったが、デビルレイズからレイズに球団名を変更した08年は快進撃。岩村が精神的支柱となって、97勝65敗で地区優勝を果たした。プレーオフでも勢いを持続。リーグ優勝決定シリーズでは松坂が所属するレッドソックスを4勝3敗で下し、リーグ初制覇。ワールドシリーズはフィリーズに1勝4敗で敗れ、前年勝率最低球団の世界一はならなかったが、史上最高の躍進と称えられた。

 ≪現役OB5人が集結≫宇和島東OBの合同自主トレは、岩村のほか、平井、横浜・橋本、ヤクルト・宮出、高木の5人の現役選手が参加。最年長の平井は「初めて全員で集まって楽しかった。みんな今季も現役でいられるし」と笑顔。一方、橋本は「昔を思い出した」としながらも、チームは昨季最下位に終わっただけに「チームにとっても自分にとっても最悪な1年になった。去年のことは忘れて、今年に勝負をかけたい」と表情を引き締めていた。

続きを表示

2011年1月4日のニュース