折茂 バスケ界の状況見て自然に決断「子供たちに夢や希望を与える選手が出てきた」

[ 2019年10月2日 05:30 ]

会見で、質疑応答に答える折茂(撮影・高橋茂夫)
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 【折茂に聞く】

 「2019~20シーズンをもって現役を引退すると決めました。あと1年間、プレーする時間がある。今まで支えてくださった皆さんのためにも、チームのためにも、しっかりと今季頑張りたい」

 ――決断の理由と経緯は。

 「体力の衰えというなら、もう40すぎから感じていた。日本バスケット界に八村(塁)君、渡辺(雄太)君のようにNBAという最高の舞台で戦う選手、千葉の富樫(勇樹)君のように、あの身長で世界と渡り合う、子供たちに夢や希望を与える選手が出てきた。バスケット界の状況、レバンガの状況を見た中で自然と決断できた」

 ――シーズン前に引退表明した理由。

 「今まで多くの方に支えられ、突然引退という形で報告はしたくなかった。最後、どれだけ頑張れるかは分からないところがあるが、そういう姿を一人でも多くの人たちに見てもらいたかった」

 ――引退することを事前に伝えたのは。

 「チームメートでいえば桜井(良太)と、今季渋谷に移った野口(大介)。他のチームでは栃木の田臥(勇太)選手に話した。田臥は僕が現役を去れば、彼が事実上の一番上になる。“今後バスケット界をよろしくね”と話したら“今季、折茂さんの背中を見て勉強する”というありがたい言葉をもらった」

 ――来年1月に札幌でオールスターがある。

 「北海道のバスケット熱がさらに高まるきっかけ。楽しみだが、僕が選ばれるかは分からない。大河(正明)チェアマンから“チェアマン推薦で”と冗談みたいな話はあるが、他の選手、その選手を応援するファンに申し訳ない。ファン投票で選ばれれば胸を張ってその場に立てる。後押ししていただきたい」

 ――ファンの存在に支えられてきた。

 「トヨタ自動車という企業チームで、アマチュアリーグでプレーした14年間、支えてくれ、応援してくれる人に何か(気持ち)を置いてプレーすることはなかった。自分のために、自分が勝ちたい一心だった。北海道に来て、自分のためから、これだけ負けても応援してくれている人のために頑張らないと、という思いになった」

 ――バスケット人生に悔いはないか。

 「悔いだらけです。性格上の問題で、やり切って全てすっきり、ということにはならない。日本一に3度なっても、悔いだらけ。(引退は)ここが自分自身のタイミングなんだろうなと自分を言い聞かせている。正直、決断にあたって、頭で理解しても体が拒否をするということが続いていた。現役引退とリリースされ、この場に立って、覚悟を持って心も体も決断ができた」

 ――貫いたもの。

 「どんな状況に置かれようが、自分が思うようにやってきた。プレーでいえば、ずっと点を取ることにこだわりを持って、それでチームを勝利に導くということをやってきた。それは27年目も変わらず、折茂は折茂であり続けたいと思う」

 ◆折茂 武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日生まれ、埼玉県上尾市出身の49歳。埼玉栄から日大に進学し、4年時にインカレ優勝。93年トヨタ自動車(現アルバルク東京)入り。07年レラカムイ北海道に移籍。11年からレバンガ北海道の代表兼選手。今年1月には日本出身選手初の1万得点を達成。世界選手権は98、06年に2度出場。1メートル90、77キロ。

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