日本バスケ界49歳レジェンド折茂 涙なし感謝の引退会見「北海道に来て良かった」

[ 2019年10月2日 05:30 ]

会見で質疑応答に答える折茂(撮影・高橋茂夫)
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 バスケットボールBリーグの現役最年長選手でレバンガ北海道の折茂武彦代表兼選手(49)が1日、札幌市内のホテルで会見を行い、19~20年シーズンで現役を退くことを表明した。93年のトヨタ自動車入りから数えて27年目のシーズンは、6日の横浜戦(北海きたえーる)で開幕。これまでの感謝を込めて60試合、雄姿を見せる。

 涙はなかった。最後まで冷静だった。その姿はコート上で華麗に3Pシュートを決めるプレースタイルそのままだった。49歳の決断。バスケ界のレジェンドは淡々と、その理由を語り始めた。

 「体力の衰えで引退を決めたわけではない。全ての責任を果たせたという思い。日本のバスケット界がいい方向に向き、レバンガも変わらなければいけない時期。強いチームにするため、ここでけじめをつけた方がいいと思い、決断した」

 日本のバスケットボール界をけん引してきた折茂は「悔いだらけのバスケット人生」と振り返った。「大した選手ではなかった」という学生時代を経て、93年にトヨタ自動車入り。9年をかけて優勝し、3度の日本一に輝いた。「一番成長させてもらった最高の場所」と振り返る。

 「第2のバスケットボール人生」は北の大地だった。07年に新規参入したレラカムイ北海道に移籍。常に挑戦を続ける折茂らしい決断だった。開幕戦では多くのファンが観戦し、「これだけ多くの人の前でやれると思い、今でも目に焼き付いている」と振り返る。

 大きな転機は11年。運営会社が経営難でリーグから除名処分を受け、自らが運営会社のオーナーに就任して選手兼任の“二刀流”となった。「北海道に来てくれてありがとう、という言葉で救われた。必要としてくれた。人は必要とされるほど頑張れることを教えられて、北海道の方々にお礼を言いたい」。選手としては現役最年長であり続け、自ら道を切り開くしかなかった。「波瀾(はらん)万丈というか、つらく、苦しく、孤独だった。だが、僕にとって北海道は人生の全てを変えた特別な場所。北海道に来て良かった」と感慨深げだ。

 「集大成」というラストシーズンが始まる。「プレースタイルは変わらない。僕のいい部分はシュートしかない。一人でも多くの人に見てもらいたい」。昨年1月には三河戦で日本出身選手初の1万得点を達成し、現在は1万209得点。「(背番号の)9つながりで終われれば。できるだけ多くの点数を取りたい」。涙はシーズン最後の歓喜の瞬間までとっておく。

 ◆折茂 武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日生まれ、埼玉県上尾市出身の49歳。埼玉栄から日大に進学し、4年時にインカレ優勝。93年トヨタ自動車(現アルバルク東京)入り。07年レラカムイ北海道に移籍。11年からレバンガ北海道の代表兼選手。今年1月には日本出身選手初の1万得点を達成。世界選手権は98、06年に2度出場。1メートル90、77キロ。

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2019年10月2日のニュース