露骨なレフェリング批判展開のアイルランド代表監督、スタジアム外の駆け引きもW杯ならでは

[ 2019年10月2日 10:22 ]

アイルランド代表のシュミット監督
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 アイルランド代表のジョー・シュミット監督が、1日に神戸市内で行われたロシア戦(3日、ノエスタ)のメンバー発表会見の中で、9月28日の日本戦のレフェリングについて批判を展開した。会見を直に取材はしていないが、W杯のプレスサイトにアップされている発言内容を読むと、数字まで持ち出して事細かに指摘していることが分かる。英国やアイルランドのニュースサイトをのぞくと、ロシア戦で2試合ぶりに先発するSOセクストンを差し置き、こちらの話題で持ちきりのようだ。

 シュミット監督が指摘しているのは、4つ取られたオフサイドの内、3つは正しくない判定だった、ということ。うち2つは、アシスタントレフェリーのジェローム・ガルセス氏(フランス)がレフェリーのアンガス・ガードナー氏(オーストラリア)に進言したと言っている。日本戦の前にも話題になっていたが、ガードナー氏は今年の欧州6カ国対抗でウェールズに敗れた試合でレフェリーを務めており、ガルセス氏はロシア戦のレフェリーを務める。

 公の場での露骨なレフェリング批判は、一見すれば負け犬の遠吠えにも聞こえる。仮に試合に勝っていたとしたら、ここまでの批判を繰り広げていたとは思えないからだ。審判も人間。ロシア戦を吹くガルセス氏の名前を挙げたことも、心証を悪くし、かえって悪影響を与えかねないとも考えられる。それでもあえて批判を繰り広げたのは、ニュージーランド出身の知将なりの考えがあってのことだろう。

 今大会は12人のレフェリーが選出され、1次リーグの40試合分は開幕前に担当の割り当てが決定している。一方、準々決勝以降の8試合は、1次リーグのレフェリング内容を審査し、統括団体ワールドラグビー(WR)が1試合ごとに審判団を選定することになる。共通するのは出場チーム出身国のレフェリーは関われないという大原則。アイルランドが決勝トーナメントで再びガードナー氏の笛の下で試合を行う可能性もあることから、あえてくぎを刺したとの見方もできる。

 9月30日のスコットランド―サモア戦後には、スコットランドのグレガー・タウンゼンド監督が日本に有利、自国に不利な試合日程の件をチクリとやった。“今さら感”はぬぐえないが、これも何らかの意図を持ったものだろう。スタジアム外の駆け引きもまた、W杯ならではで面白い。(阿部 令)

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