【高岡寿成の目】設楽 前半から攻め、我慢、計算しない…全ての良さ出た

[ 2018年2月26日 08:45 ]

東京マラソン ( 2018年2月25日    東京都庁前~東京駅前 スタート時の天候=曇 気温6・5度 湿度36% )

日本記録更新し、日本人トップの2位でゴールした設楽悠(代表撮影)
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 最も評価したいのは世界のトップと真剣勝負しようとした気持ちの部分だ。先頭のペースメーカーに食らいついた井上選手。その姿に発奮したであろう設楽悠選手。昨年のレースでも積極的な走りが目立った2人だが、一定の手応えを得ていたのかもしれない。

 日本記録を塗り替えた設楽悠選手の良さは(1)前半から突っ込んでいける(2)苦しいところで我慢できる、の2点に加え(3)計算しない、という点を挙げたい。昨年は前半のハイペースが後半の失速につながったが「後半は怖い」と考えず、もう一度挑戦した。そのメンタルが気候条件とも重なり、記録につながったのだろう。

 もう一つ指摘したいのは、駅伝で鍛えられたプラス面だ。30キロすぎに苦しくなった場面、前の選手が近づいたことで救われた。駅伝で「前を抜く」という基本姿勢が培われており、その気持ちが活力につながったのではないか。まして2時間4〜5分のベストを持つ選手を抜けば、自信も湧いてくるだろう。

 9秒台に突入した100メートルと同様、この記録は男子マラソン界の風穴になる。多くの企業チームから8分台のランナーも誕生した。次は5分台を狙う選手も出てくる。活性化を大いに期待したい。(男子マラソン前日本記録保持者、カネボウ陸上部監督)

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