設楽悠 16年ぶり日本新、GC切符&1億円獲得 東京五輪に光

[ 2018年2月26日 05:30 ]

東京マラソン ( 2018年2月25日    東京都庁前~東京駅前 スタート時の天候=曇 気温6・5度 湿度36% )

2時間6分11秒の日本新記録、日本人トップの2位でゴールする設楽悠
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 20年東京五輪の男女代表選考大会「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)の選考会を兼ねて行われ、設楽悠太(26=ホンダ)が2時間6分11秒で日本人トップの2位となり、高岡寿成の日本記録を5秒更新してMGC出場権を獲得した。史上初めてハーフとフルマラソンの両方の日本記録を保持することになり、また日本実業団連合から褒賞金1億円も得た。日本人2位の井上大仁(25=MHPS)も2時間6分54秒の日本歴代4位の好タイムでMGC出場権を獲得した。

 まさに“その1秒を削り出した”。フィニッシュ地点に入る最後のカーブを曲がると設楽悠は記録更新を確信。沿道に駆け付けた誰もがタイムを刻む電光掲示板と日本記録をにらめっこする中、設楽悠だけ真っすぐゴールを見据えた。出身の東洋大のスローガンを体現する走りで快挙を達成した。

 「沿道から日本記録、1億円という声は聞こえたが勝つことが一番。その結果、記録がついてきた」

 前回、日本人トップの8位に入った井上に逆転を許した37キロ付近。今年も一時は井上に離されたが、38キロ付近で追いつくと、並走することなく一気に置き去り。40キロすぎの給水所では、家族の手製という設楽悠のイラスト入りボトルケースを右腕に巻き付けた。「ラスト、ファイト」という文字にテンションが上がった。「30キロ以降は走力じゃなくて、応援の力で走りきった」。去年の借りを日本記録更新という最高の形で返した。

 設楽の記録には超特大のおまけが付いた。日本実業団連合から記録更新ボーナスが贈られる。「1億円、ゲットできて素直にうれしい。豪快に使いたい」とニヤリと笑った。

 “1億円”を得たことで、マラソン練習の定番ともいえる40キロ走を行わない独自の方法論が正しかったことを証明した。「走り込みをしてマラソンにつながるとは僕は思わない。一番いいシューズで効率よく練習するのが近道」という。走り込みの代わりに週末に試合を多く入れることにした。理由は、土日に試合がないオフだとサボるから。試合をすれば、走行距離は稼げる。何より実戦でしか得られない経験が血と肉になった。

 今月は4日の丸亀国際ハーフ、11日には唐津10マイルレースを走り、東京マラソンへと研ぎ澄ませた。瀬古利彦リーダーが強調する「練習量の重要さ」をあざ笑うかのように「僕には必要ない。(40キロ走は)やりたくなったらやる」。スタイルを貫いた末に、重く閉ざされていた扉を16年ぶりに開いてみせた。

 【設楽 悠太(したら・ゆうた)】

 ☆生まれとサイズ 1991年(平3)12月18日生まれ、埼玉県寄居町出身。1メートル70、48キロ。家族構成は父、母、姉と、日立物流所属の双子の兄・啓太。

 ☆陸上を始めたきっかけ 小学6年のころで地元の陸上クラブに兄・啓太と入会。中学から本格的に長距離を始めた。

 ☆進路選択 高校時代、箱根駅伝で東洋大が完全優勝。その酒井俊幸監督から声が掛かり、優勝したいと入学を決意した。

 ☆箱根駅伝 東洋大2年時に7区区間新記録。3、4年ではどちらも3区で区間賞獲得。

 ☆好き嫌い 大学入学前までは野菜嫌い。入学後に食生活を学び、少しずつ食べ始めたことで結果に結びついた。甘い物が大好き。

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