19歳堀島 大快挙!モーグル日本男子初の金 絶対王者撃破

[ 2017年3月9日 05:30 ]

フリースタイルスキー世界選手権 ( 2017年3月8日    スペイン・シエラネバダ )

フリースタイルスキー世界選手権・男子モーグルで優勝した堀島行真(中央)
Photo By 共同

 モーグル界にニューヒーローが現れた。19歳の堀島行真(中京大)が大会初出場初優勝を飾った。女子の09年猪苗代大会の上村愛子以来、日本男子では初めての金メダル獲得。予選を1位で通過し、上位18人による決勝1回目も2位で突破。上位6人で争う決勝2回目で88・54点をマークして頂点に立った。日本勢の残り3人は予選で敗退し、原大智(ジョックス)は23位、西伸幸(マンマーノフーズ)は24位、遠藤尚(忍建設)は28位だった。大会はスノーボードと同時開催で19日まで実施される。

 W杯優勝も未経験の19歳が、一足飛びにビッグタイトルをつかみ取った。自分で刈った独特なモヒカンヘア、にきびとあどけなさの残る顔つき。その怖いもの知らずの滑りが、W杯42勝の絶対王者キングズベリーの牙城を突き破った。

 「本当にうれしい。予選を1位で通過したので(優勝できて)ホッとしたし安心した。攻めの意識を保っていったら、実力以上のものが出てくれた」。初の大舞台でつかんだ予想以上の結果に喜びと興奮をにじませた。

 この日滑った3本全てを高いレベルでまとめ上げた。最速タイムだった予選は得意のエアもしっかりと決め、今季W杯11戦9勝のキングズベリーを3・70点も上回る91・08点を叩き出した。「いいところが多すぎて驚きもあるが、憧れていた人と互角に戦えてうれしい」と高揚感を決勝ではさらなる力に変えた。

 両親の影響で1歳の頃からスキーを始めていた。初心者用のパークでジャンプなどを跳ぶうちにコブの楽しさにも目覚めた。小学4年生になると本格的にモーグルを始め、元エアリアル選手のコーチからエアの技術を学び取った。この頃は抽選で当たった1カ月券を使い、夏休みの期間中ウオータージャンプに通いつめたこともある。中学1年生ですでに軸をずらしながら3回転する「コーク10」を雪上で決め、今では「ダブルフルツイスト(後方宙返り2回ひねり)」も習得。最高難度の2種類のエアを自分のものにした「エアの申し子」だった。

 これまでもエアは光っていたが、モーグルの採点基準はターンが6割、エアとタイムが2割ずつ。ターンの成長が世界王者へと押し上げた。決勝1回目は中盤でやや滑りが乱れたものの、キングズベリーに次ぐ2位で突破。上位6人による決勝2回目ではミスなく力を出し切った。第1エアは「コーク10」。着地から素早くターンへ移り、果敢に攻めて第2エアの「コーク7」につないだ。タイムは再び最速となる21・51秒。王者に重圧をかけると、最終滑走のキングズベリーが第2エアの着地で珍しくバランスを崩して3位。堀島の優勝が決まった。

 その滑りはまだイチかバチかの危うさも漂うが、その分だけ伸びしろも十分。日本男子初の世界王者に上りつめ、視線の先に平昌五輪の金メダルも見えてきた。

 ◆堀島 行真(ほりしま・いくま)1997年(平9)12月11日生まれ、岐阜県池田町出身の19歳。両親の影響で1歳からスキーを始め、岐阜第一高から中京大に進学。13年2月の猪苗代大会でW杯デビューし、昨季W杯開幕戦のデュアルモーグルで3位。初の表彰台に上がって、昨季は新人賞にも選ばれた。先月18日のW杯田沢湖大会で初めて決勝2回目に残り、モーグルでは自己最高の6位。札幌アジア大会ではモーグル、デュアルモーグルの2冠を達成した。1メートル66、54キロ。

 ▽モーグル フリースタイルスキー競技の一つで、五輪では92年アルベールビル大会から正式競技。コブの急斜面を滑り、ターンと2回のエア(ジャンプ)を採点し、タイムによる得点を加えた3要素で順位を決定。ターンを採点する審判は5人または3人、エアを採点する審判は2人で行う。得点構成はターン60%、エア20%、スピード20%からなっており、よりターンの正確さが求められる。五輪のフリースタイルスキー競技はモーグルのほかエアリアル、スキークロス、ハーフパイプ、スロープスタイルの各男女。

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2017年3月9日のニュース