まったく働かずに時給2300万円!そんな夢のような話がNBAに…

[ 2017年3月9日 10:20 ]

レイカーズ時代のホセ・カルデロン=左(AP)
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 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】ホセ・カルデロン(35)は現在、ジョージア州アトランタを本拠にしているNBAのホークスに所属している。元スペイン代表のポイントガード。ラプターズ時代の2008年シーズンには平均12・8得点、8・9アシストをマークしたこともあるベテランだ。ニックスに在籍していた2016年6月22日にブルズにトレードされ、その15日後にはレイカーズへ再び移籍。NBA人生でレイカーズは5チーム目で、彼のように移籍が多い選手は「ジャーニーマン」と呼ばれている。

 今季はそのレイカーズで開幕を迎え24試合に出場(先発で11試合)して平均3・3得点。ラプターズ時代のように出場機会には恵まれず、チームが若手に切り替える方針を固めたことで今年の2月27日に解雇されてしまった。

 さて、ここから彼には「いいニュース」と「悪いニュース」の2つが届く。朗報だったのはリーグ全体首位を走るウォリアーズから声がかかったこと。ラプターズ時代の実績がものをいって、不振を極めていたレイカーズとは対極にあるリーグ屈指の強豪チームとの契約が合意に達したのだ。

 ただし不運だったのは過去4回得点王に輝いているウォリアーズのフォワード、ケビン・デュラント(28)が2月28日のウィザーズ戦で左膝を痛めて戦列を離れてしまったこと。その時点でウォリアーズはガードではなくフォワードの補強が急務となった。ちょうどそこにキングスのフォワード、マット・バーンズ(36)が解雇されたという一報が飛び込んだきた。

 3月2日午前8時6分。カルデロンはウォリアーズと契約したが午前10時5分、ウォリアーズ側がバーンズを獲得する方針に切り替えたために解雇されてしまう。在籍はわずか1時間59分。しかし契約は契約だ。結局、ウォリアーズは今季の終わりまでのサラリーを支払う形でカルデロンをウエーバー(支配権放棄)にかけたのだった。

 約2時間ながら支払うサラリーは約40万ドル(約4600万円)。2300万円という破格の時給だが、カルデロンは少なくともウォリアーズでは一度も“労働”を提供しなかった。

 このあとホークスが3月4日になってカルデロンと契約。わずか6日間で在籍球団が3つとなったカルデロンは今、何を思っているだろう?「いい旅・夢気分」でないことだけは確かだと思うが…。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、佐賀県嬉野町生まれ。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

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2017年3月9日のニュース