白鵬 まさかの初黒星 モンゴル“後輩”荒鷲にアララ

[ 2017年1月16日 05:30 ]

大相撲初場所8日目 ( 2017年1月15日    両国国技館 )

<初場所8日目>荒鷲に寄り切りで敗れる白鵬(中央)
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 結びの一番で横綱・白鵬が平幕・荒鷲に寄り切られ、まさかの初黒星を喫した。今場所まだ1勝の格下相手に左上手を取られ土俵を割った。これまで初顔合わせは28連勝中だったが、09年9月18日の秋場所6日目に翔天狼に敗れて以来、7年4カ月、29戦ぶりの敗戦。先場所6日目の遠藤に続く出場3場所連続、自身14個目の金星配給となった。全勝は悲願の初優勝を目指す大関・稀勢の里ただ一人となった。

 乱舞する座布団が右腰を直撃しても、白鵬はぼうぜんと土俵を見つめていた。終盤に向けて徐々にギアを上げるこれまでの優勝パターンのように、初日からエンジンを温めてきた横綱が、中日で平幕相手に手痛い1敗だ。ざわめく場内を背にして支度部屋に引き揚げると、下を向いて小刻みに首を振り、風呂へと消えていった。悔しさを見せながらも「見ての通り。こういうこともある」と言葉は潔かった。

 初顔には09年秋場所6日目で翔天狼に敗れたのを最後に28連勝中だった。心強いデータに加え、相手は今場所まだ1勝の荒鷲。この取組の審判長だった藤島親方(元大関・武双山)が「まさかの展開」と目を疑うのも当然だった。立ち合いで左に動いてきた荒鷲に投げを打たれ、右四つの体勢で270度回り、気づけば土俵際。腰が浮いた状態で寄り切られた。藤島親方は「白鵬は(左の)上手が切れてしまった」と敗因を挙げた。

 この日の朝稽古では場所入り後初めて平幕・石浦に胸を出した。さらに五輪に夏冬合計7度出場した橋本聖子参議院議員が見学に訪れた。元横綱・吉葉山の義妹と結婚した橋本氏の叔父が、吉葉山が率いた宮城野部屋を支援していた縁もあり、1年以上前から交流。前夜も会食した間柄だ。「頑張ってください。祈ってます」と激励されたが、これまでと違うルーティンで臨んだ結果、全勝で並んでいた稀勢の里の後塵(こうじん)を拝する結果となった。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「白鵬は引き締めて臨んだと思うが、どうしても油断してしまうほど力の差はある」と話したが、4場所ぶりの優勝に気の緩みは禁物。帰りの車に乗り込む前、「もう駄目〜」とこぼした横綱。劣勢をはね返してきた過去の実績があるだけに、まだその言葉に余裕すら感じられた。

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2017年1月16日のニュース