【中村真衣の目】チーム力がもたらしたリレー銅…自由形で世界と戦える日が来た

[ 2016年8月10日 14:15 ]

男子800メートル自由形リレーで銅メダルを決めた日本チーム(左から)小堀、江原、萩野、松田

リオデジャネイロ五輪競泳

(8月9日)
 涙腺が緩むようなレースが多い日でした。

 その流れをつくったのが、男子200メートルバタフライの坂井選手でした。レース前の選手は怖さと不安に押しつぶされそうになる。そんな時に、仲間が頑張る姿を見ると、自分もやってやろう、続こうと闘志が出てくる。坂井選手の銀メダルが、男子200メートル平泳ぎ準決勝の渡辺、小関選手、そして、男子800メートルリレーの52年ぶりのメダルにつながったと思います。

 わたしも2000年シドニー五輪で同じ経験をしました。初日に田島寧子さんが女子400メートル個人メドレーで銀メダルを獲ったことで、わたしも自分を信じて頑張ろうと思えました。わたしの銀メダルで「わたしも」と思ってくれた中尾美樹さんが、今度は女子200メートル背泳ぎで銅メダルを獲りました。競泳は個人種目ですが、チーム、仲間の頑張りは大きいのです。

 それがリレーならば、なおさらです。シドニー五輪の女子400メートルメドレーリレーで第1泳者だったわたしは、5位でタッチして役割を果たせませんでした。しかし、他の3人が「このメンバーで絶対にメダルを獲る!」という強い気持ちで、女子リレー種目では日本初のメダルとなる銅メダルにつなげてくれた。

 この日の男子800メートルリレーでは、個人種目が多い萩野選手以外の3人が、金メダルを目標に合宿を重ねたと聞いています。その3人の思いを受けた第1泳者の萩野選手が、2位で入ってきた。この泳ぎは、残る3人の力になったはずです。まさに気持ちを一つにし、高い目標を持って臨んだ結果が、快挙につながったと思います。

 数年前まで、世界とは全く勝負にならなかった自由形で手にした銅メダルは、日本も自由形で戦えるレベルになった証明だと思います。そして、後輩やジュニアの選手は「自分たちもできる」という勇気をもらったでしょう。仲間の、先輩の泳ぎは力をくれる。この銅メダルが、日本の自由形のレベルをさらに上げてくれると期待しています。 (2000年シドニー五輪女子100メートル背泳ぎ銀メダル)

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