白井「人生で一番心臓に悪い日」が…「断トツに一番、幸せな日」へ

[ 2016年8月10日 05:30 ]

<体操・男子団体決勝>完璧に決めた白井の跳馬

リオデジャネイロ五輪体操・男子団体総合決勝

(8月8日 リオ五輪アリーナ)
“ひねり王子”が歴史に名を刻んだ。初めて五輪に出場した白井健三(19=日体大)は跳馬で15・633点、床運動で16・133点とともに全体トップのハイスコアをマークしてチームに貢献。68年メキシコ五輪の団体金メダルメンバー・監物永三の20歳8カ月を上回り、数々の名選手を生んだ体操ニッポンで、史上最年少の金メダリストになった。

 歓喜のアテネに大きな影響を受けた内村らほかのメンバーと、19歳は世代が違う。白井にとって団体のイメージとは08年北京、12年ロンドンの銀メダル。「僕は負けたチームを見てきた。勝ったチームにいられて、凄く幸せ」。体操ニッポン史上、初めての10代金メダリストはスポットライトを浴びた表彰式で、メダルとともに手渡された記念品を「歯ブラシ立て?」と勘違い。緊張感から解放され、天真らんまんな笑みを浮かべた。

 圧倒的なパフォーマンスでチームに貢献した。最初の出番となった跳馬で「シライ/キムヒフン(伸身ユルチェンコ3回ひねり)」を完璧に成功。微動だにしない着地で波に乗ると、最終種目の床運動では1番手で登場し、予選で失敗した「リ・ジョンソン(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)」を決め、「シライ/ニュエン(後方伸身宙返り4回ひねり)」でフィニッシュ。ともに全体トップのハイスコアを叩き出した。

 小学5年時、練習に通っていた日体大の体育館で、学生だった内村に声をかけられた。「おまえと一緒に五輪に出られたらいいな」。キングは白井が持つひねりのセンスを見抜いていた。尊敬する先輩と立った初の夢舞台。「緊張なんかしたって、いいことないじゃないですか~」と笑っていた白井もリオ入り後の表情は硬かった。8月8日、運命のファイナル。「人生で一番、心臓に悪い日だった」と振り返った19歳は、「断トツに一番、幸せな日になった」と胸を張った。

 白井にはまだ、種目別決勝で夢の続きがある。床運動(14日)は優勝候補の大本命で、跳馬(15日)は既に国際体操連盟に新技として申請した「伸身ユルチェンコ3回半ひねり」に挑戦する可能性が高い。「きょう(8日)みたいな演技ができれば間違いなくいい成績がついてくる」。10代で3つの金メダルを獲得すれば、日本の五輪史上初。“ひねり王子”が歴史的偉業にアタックする。

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