“競技”を背負い過ぎたオリンピアン リオは「自分のための五輪」に

[ 2016年6月11日 09:41 ]

トランポリンの伊藤正樹(左)と飛び込みの寺内健

 4年に1度の夢舞台は、マイナー競技にとっては絶好のアピールのチャンスだ。普段はそれほど注目されないが、五輪だけはテレビで見る、という人も多い。最近、メジャーとは言えない競技を主戦場にする2人のオリンピアンから、同じ言葉を聞いた。「今までは、競技を背負いすぎていた」と。

 トランポリン男子の伊藤正樹は、12年ロンドン五輪でメダルにあと一歩と迫る4位だった。4年前、「メダルを獲って、トランポリンをメジャーに」と繰り返していたエースは今、少し冷静に五輪を見つめている。「ロンドンの時は、いろいろと背負いすぎていた。リオは自分のために金メダルだけを狙って勝負したい」。競技をメジャーにするためにメダルを狙う、という考えは捨てた。

 飛び込み男子の寺内健は、リオが5度目の五輪となる。35歳、百戦錬磨の大ベテランですら、こう言った。「これまでの4大会、飛び込みを背負いすぎていた部分がある。今回だけは自分のために戦おうと思う」。もちろん、周囲の期待は理解しているし、その期待に応えたい。その上でたどり着いたのが「自分のため」という境地だった。

 トランポリンも飛び込みも、五輪でメダルを獲得すれば、日本初の快挙。「競技をメジャーにしたい」という思いの強さは、過去も今も変わらない。2人のエースが表彰台に上がった時、メジャー化への道は自然と開ける。

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2016年6月11日のニュース