錦織、また不完全燃焼 過去負けなし相手にイライラ…8強逃す

[ 2015年10月16日 05:30 ]

シングルス3回戦でケビン・アンダーソンに敗れ苦い表情を見せる錦織(AP)

男子テニス 上海マスターズ

(10月15日 中国・上海)
 世界ランキング6位で第6シードの錦織圭(25=日清食品)はベスト8進出を前に姿を消した。世界10位で第12シードのケビン・アンダーソン(29=南アフリカ)に6―7、6―7のストレート負け。タイブレークでの4本のセットポイントを生かせずに第1セットを落とすと、第2セットもタイブレークの末に競り負けた。今季2戦2勝だった相手に不覚を喫し、マスターズ初制覇はまたしてもお預けとなった。

 恨めしそうにラケットを見つめる。思わずラケットを振り上げる。試合が進むにつれて錦織のいら立つしぐさばかりが目立っていった。「どっちに転んでもおかしくない試合だった。悔しいけど良いところもあった」と振り返ったものの、本心では善戦で満足しているはずがないだろう。

 強がりではなく勝機はあった。第1セットのタイブレークは先手を取り、4本のセットポイントをつかんだ。しかし競り負けた。「ミスをしてでも思い切り打っていればよかった」。第2セットも4―5で迎えた相手のサービスゲームで起死回生のブレークに成功。再度のタイブレークでも0―5の絶望的な状況から2本のスーパーリターンを決めた。ここから反撃。そう思わせるたびに、あっさり突き放された。

 世界ランクを自己最高の10位に上げてきたアンダーソンに、プロ4度目の対戦で初黒星。フォアハンドの逆クロスを次々に打ち抜かれ、第2サーブのリターンも思うようにいかず「以前の対戦よりレベルを上げてきた」と言うほかなかった。

 8月以降、得意のハードコートシーズンで歯車がかみ合っていない。昨年は全米オープン準優勝や2週連続優勝など躍進。今年は8月上旬のシティ・オープンこそ優勝したが、全米オープンは1回戦負け。日本の楽天ジャパン・オープンでは連覇を逃し、今大会も不完全燃焼。8月から上海オープンまでのポイントは昨年が2050点、今年はほぼ半減の1140点と伸び悩んでいる。

 足りないのは、肝心なポイントでの勝負強さ。この日の試合はどこかチグハグな錦織を象徴するような内容だった。シーズンは残り1カ月。「この2大会は悔やむところも多いけど良いテニスはできていると思う。たぶん経験と時が解決してくれる」。勝ちを重ねていけば流れは変わるはず。しかし今は勝ち続けることがとても難しく思える。

続きを表示

2015年10月16日のニュース