韓国開催プレジデンツ杯で考えさせられた、5年後の“観戦のあり方”

[ 2015年10月16日 10:00 ]

多くのギャラリーが観戦した韓国開催のゴルフ対抗戦、プレジデンツ・カップ(AP)

 2年に1度の米国選抜と世界選抜のゴルフ対抗戦、プレジデンツ・カップがお隣、韓国で開催された。これは米国選抜と欧州選抜の対抗戦であるライダー・カップの開催されない年に行われる大会で、ライダー・カップは欧州以外の国籍を持つ選手が出場できないことから、世界の有力選手が米国選抜と戦う団体戦として発案されたもの。94年に第1回大会が開催されている。

 そして、ことしで11回目を迎えた大会は史上初めてアジアで開催されることとなった。舞台は韓国のジャック・ニクラウスGC。アジアのハブ空港である仁川国際空港から車で30分ほど。高層タワーやマンションが建ち並び、近未来的な雰囲気を醸し出している松島国際都市の一角にコースはある。コース名から分かるように、設計者は“帝王”ジャック・ニクラウス。フェアウエーは一見すると広いのだが、バンカーやウォーターハザードが効果的に配置されている、2大会連続の出場となった松山英樹は「(バーディーを)取りやすいホールと難しいホールのメリハリがはっきりしている」と言った。

 大会期間中には韓国の祝日が挟まれたこともあり、観客は連日大入り。興行的には大成功だったと言えるだろう。しかし、選手のプレー中に平気でスマホをかざして写真撮影をしたり、電話でおしゃべりを続けたり、ロープで区切られたフェアウエー内に立ち入ったり…。係員が注意しても焼け石に水。マナーの面で首をかしげざるを得ないギャラリーが多かったことが残念でならなかった。そして、それは5年後に控えた東京五輪でも熟慮すべき課題であろう。

 日々、日本全国のツアーに足を運ぶ身として感じることは、「日本のギャラリーのマナーは素晴らしい」ということだ。中にはプレー中の写真撮影など禁止事項を行う人もいるが、注意されれば従う人がほとんどだ。だが、プレジデンツ・カップでは注意を受けてもカメラを下げないギャラリーが大半だった。その中に日本人が複数いたことも残念でならない。大会期間中に一度、日本人ギャラリーの方に「写真、ダメですよ」と注意したが、「周りもやってるじゃん」と聞き入れられることはなかった。

 選手も常々言うようにファンがあってのスポーツだが、選手が最高の力を発揮できる環境を作るのも我々スポーツファンの仕事だとも思う。東京五輪では同じようなことを起こしてはならない。改めて“おもてなし”とは、と考えさせされた韓国出張だった。(井上 侑香)

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2015年10月16日のニュース