羽生、今季初戦SP首位発進も…後半4回転で着氷ミス「悔しい」

[ 2015年10月16日 05:30 ]

今季初戦は93.14点で首位発進!男子SPで躍動感のある演技を見せる羽生

フィギュアスケート オータム・クラシック

(10月14日 カナダ・バリー)
 今季初戦の14年ソチ五輪金メダリスト・羽生結弦(ゆづる、20=ANA)が、男子ショートプログラム(SP)で93・14点をマーク。演技後半の4回転トーループの着氷が大きく乱れたが、昨季世界選手権5位のナム・ニュエン(17=カナダ)に6・61点差をつけ、首位に立った。女子SPは今井遥(22=新潟県連盟)が58・17点で3位につけた。

 ピアノの旋律が始まってから1分50秒後、羽生が4回転トーループを踏み切った。右足で着氷すると体は深く沈み、バランスを崩して手を突き回転不足の判定。「直前の練習ではいい感じだっただけに悔しい」。疲れの出る演技後半、ジャンプの基礎点は1・1倍になる。高難度プログラムを完遂するために20歳が挙げた課題は、技術ではなく思考回路だった。

 「後半(の4回転は大変)という固定概念に縛られている。考えなくてはいけないことを絞り切れていない」

 今季SPは2季連続でショパンの「バラード第1番」。昨季も演技後半に4回転トーループを入れる構成だったが、アタックできたのは初戦の中国杯のSPだけ。同大会フリー直前の衝突事故、昨年末には腹部手術などアクシデント続きでコンディションが整わず、挑戦の機会はなかった。ジャンプと音楽の調和を掲げる今季。曲は同じでも、衣装に金色をあしらうなど微修正を加え、4回転を踏み切る直前のステップの難度も上げた。

 4回転には失敗したものの、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)、演技終盤の3―3回転のコンビネーションはきっちり決めた。「このプログラムはまだノーミスでできていないな、とあらためて思った」と振り返るが、確かな手応えも感じた。「(ジャンプで)もっと気持ち良く乗れるところを探す必要がある。本番という舞台で、いい課題を見つけられた」と前向きだ。

 昨季は初戦に予定していたフィンランディア杯を腰痛で欠場。その後の苦難を暗示させるようなシーズンの幕開けだったが、今季は違う。15日(日本時間16日)のフリーでは映画「陰陽師(おんみょうじ)」の曲を使い、安倍晴明を演じる。SP同様、演技後半に4回転トーループに挑む予定だ。「一回(4回転を)降りてしまえば怖さはなくなる。どんどん挑戦していきたい」。初の和風プログラムが、羽生のアタックを後押しする。

 ▽オータム・クラシック 国際スケート連盟(ISU)公認の試合で、主催はカナダ・スケート連盟。ISU主催のGPシリーズ、世界選手権などの大会よりもランクが下で、国際B級大会に位置づけられている。初開催は14年で、今年が2回目。

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