【ジャパンウエー奇跡と未来図3】多種多様のコーチ招へいがW杯で結実

[ 2015年10月16日 11:20 ]

歴史的勝利を南アフリカから挙げたあと、スクラム1列目の選手たちと記念撮影するマルク・ダルマゾ・コーチ(中央)

 「エディーはいいけどダルマゾは残すべき」。米国とのW杯最終戦翌日、宿舎で取材に応じたリーチ主将は、笑みを浮かべながらもそう言った。今大会の躍進の原動力の一つが、長らく国際舞台では日本の弱点だったスクラム。元フランス代表フッカーのマルク・ダルマゾ・コーチを引き留めるべきとの声は、他のFW選手からも聞こえる。

 実は当初、別の人物を招へい予定だった。世界でもっともスクラムにこだわりを持つフランスに目を付け、同協会のハイパフォーマンスマネジャーを招へい予定だった。ところが難色を示され、代わりに提案されたのがダルマゾ氏だった。12年11月の欧州遠征からスポットコーチに就き、14年にフルタイムコーチに就任。8人一体の結束、数センチ単位で足の位置調整…。1時間以上も組み続ける練習を課すなど、想像を絶するしごきを連日施した同コーチ。プロップ畠山らが「頑固でこだわりが強い」という職人コーチがいなければ、南ア戦で世紀の決断となったスクラム選択も生まれなかった。

 ジョーンズHCが「都内のカフェでたまたま会った」という、オーストラリアの元13人制ラグビー選手のマックス・マニックス氏には、臨時のディフェンスコーチとして選手のタックル指導を依頼した。ストレングス&コンディショニング(S&C)コーディネーターのジョン・プライヤー氏は、ジョーンズHCと長年コンビを組んできた、その道のスペシャリスト。W杯出場を決めた香港戦(国立)翌日の14年5月26日には、前日まで香港代表ヘッドコーチだったリー・ジョーンズ氏をディフェンスコーチに招いた。協会首脳が「あれは大変だった」という、言わば引き抜き行為だが、その全てがW杯で結実した。 (特別取材班)

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2015年10月16日のニュース