鏡桜、6連勝!モンゴル出身苦労人「ミルク代稼がないと」

[ 2015年7月18日 05:30 ]

輝を寄り切りで破る鏡桜

大相撲名古屋場所6日目

(7月17日 愛知県体育館)
 平幕で唯一勝ちっ放しの鏡桜が十両・輝を下して全勝を守った。モンゴル出身の苦労人は幕内6場所目で初めての勝ち越しへ前進。平幕優勝の経験がある師匠の鏡山親方(元関脇・多賀竜)に近づくべく奮闘中だ。新大関の照ノ富士は佐田の海を下し、横綱の白鵬、鶴竜とともに6連勝とした。
【6日目取組結果】

 勝ち越しまで残り2勝とした鏡桜の頬は緩みっぱなし。「うれしいね」。今場所は幕内で初めての白星発進を決め、そのまま勢いに乗った。この日は十両の輝を圧倒。立ち合いすぐに左上手を取ると、出し投げで崩して寄り切り。「今は立ち合いに迷いがない」と分析する。

 所属の鏡山部屋には自身と三段目の竜勢(師匠の長男)の2人しかいない。全43部屋で最少の力士数だ。他の部屋なら幕下以下の力士が関取の身の回りの世話、掃除など仕事をこなすが、鏡桜は自ら率先して洗濯などを手伝う。「自分でできることはやるし、協力するのが大事」とアットホームな環境を楽しむ。場所前は稽古相手を求めて連日の出稽古。場所が始まれば2人きりで四股、ぶつかり稽古に汗を流す。

 15歳だった03年7月の名古屋場所の初土俵から10年以上かけて昨年1月の初場所で新入幕。所要62場所は外国出身では史上2位のスロー出世だった。稽古環境に恵まれたとは言えない中で努力を続けた。

 新大関・照ノ富士とは十両時代を含めれば2勝2敗と五分の対戦成績。幕内で唯一の対戦だった昨年3月の春場所9日目は逆転の突き落としで勝利した。このまま連勝を伸ばし、優勝戦線に残れば対戦する可能性もある。84年9月の秋場所、蔵前国技館最後の場所で平幕優勝を飾った鏡山親方は「まだまだ」と笑い、本人も「そこまではいかないでしょ。まずは勝ち越し」と自分の足元を見つめる。

 1歳6カ月の長男・ムンフスルトくんが元気の源だ。地方場所の際は毎晩、テレビ電話を欠かさない。大柄で15~16キロもあり、右足を上げて四股をまねる姿にパワーをもらう。きょう7日目は人気者の遠藤と対戦。懸賞は11本もかけられ「ミルク代を稼がないといけない」と気合十分だ。

 ◆鏡桜 南二(かがみおう・なんじ、本名=バットフー・ナンジッダ)1988年(昭63)2月9日生まれ、モンゴル出身の27歳。03年名古屋場所初土俵。得意は右四つ、寄り。1メートル82、138キロ。家族は妻と長男。

続きを表示

2015年7月18日のニュース