旭天鵬“魁皇超え”鉄人記録自ら祝う、若さあふれる一気押し

[ 2015年5月15日 05:30 ]

阿夢露(左)を寄り切りで破る旭天鵬

大相撲夏場所5日目

(5月14日 両国国技館)
 西前頭14枚目の旭天鵬が元大関・魁皇(現浅香山親方)を抜いて歴代単独トップとなる幕内通算1445回目の出場を白星で飾った。阿夢露を寄り切って、2連敗からの3連勝。白星が先行した40歳は幕内在位100場所(現在98場所)などの次なる記録達成に意欲を見せた。全勝は高安と魁聖の平幕2人だけとなった。
【5日目取組結果】

 新記録に導いたのは熟練の技なんかじゃない。若さあふれる一気の押しだ。鋭く当たった旭天鵬が右腕で相手の左腕を抱え込みながら、強烈な左はず押しで前に出ると、4連勝と波に乗っていた阿夢露はなすすべなく後退。友綱部屋の先輩の魁皇を抜く新記録達成を白星で自ら祝った。

 「ついにきましたね。最近にない出足の良さで、内容も良かった」

 17歳でモンゴルから来日し、92年春に初土俵を踏んでから23年。病気とは無縁だったが、先月28日に血尿が出て、場所前の稽古はできなかった。ぼうこうがんの疑いも指摘されたが、幸いにも1・7センチの尿管結石が原因であることが判明。石は体内に残ったままだが、痛みは出ず、出場にこぎつけた。「出られないかもしれなかったから、なおさら喜びがある」と記録達成のうれしさは格別だ。

 今場所は前頭14枚目。幕内にとどまるには7勝が目安だ。初日から2連敗した時は「ヤバイと思った」と十両陥落も脳裏をよぎった。だが、3日目から3連勝。「不思議だね。どれが本当(の自分)か分からない」。不惑の男は戸惑いながら幕内で戦い続けている。在位98場所で100の大台も見えてきた。通算勝利数も689勝で、貴乃花の701勝も目前。「近くなると気持ちが高まる」と数字がモチベーションだ。

 前夜は白鵬と食事し、祝福された。「医者に深酒するなって言われてるから、軽くビール5杯にしといたよ」。飲んで、食べて、稽古して、ゴルフもする。ストレスをためないことが元気の秘けつだ。

 今場所、白鵬が12年夏場所以来3年ぶりに初日で負けた。その時に初優勝したのが旭天鵬だった。「2回もあるか!」。5日目で三役以上に全勝がいない荒れる夏場所。元気な40歳にチャンスがないわけじゃない。

続きを表示

この記事のフォト

2015年5月15日のニュース