田知本愛10度目の正直で初優勝 ライバル山部に判定勝ち

[ 2015年4月20日 05:30 ]

初優勝の田知本(左)は、妹の遥と談笑する

柔道全日本女子選手権

(4月19日 横浜文化体育館)
 田知本愛(26=ALSOK)が10回目の出場で悲願の初優勝を果たした。2年続けて同じ顔合わせとなった決勝では、78キロ超級のライバルである昨年覇者の山部佳苗(24=ミキハウス)に判定3―0で辛勝。今月5日の全日本選抜体重別選手権に続いて体重無差別の戦いを制し、8月の世界選手権(カザフスタン)の代表切符を文句なしで勝ち取った。大会後に全日本柔道連盟の強化委員会が行われ、田知本と山部を世界選手権の代表に追加した。

 どちらに転んでもおかしくはない僅差の判定。しかし、さいの目は全て田知本と出た。旗判定の3本の旗は全て白。「信じられない。本当に自分の旗か確認した」。号泣する敗者を目の前にしても、勝者はすぐには現実を把握できなかった。

 1回戦以外は6分間をフルに戦い抜き、しぶとく勝ち上がった。「わたしは一本取ることは少ないので想定内」。特に手の内を知り尽くした山部との決勝は、最後までこう着した内容になった。1年前は内股をすかされて一本負け。「去年は焦って投げられた。今年は投げられない」と心に誓っていた。圧力で勝ったのは山部のようにも見えたが、手数で上回り、なんとか昨年の借りを返した。

 選抜体重別を制したのがわずか2週間前。疲れが残る中で、例年とは異なり、オフは取らなかった。妹の遥(24)に「一緒にジョグに行こうよ」と声をかけ、大会翌日には再始動。その後、東海大で男子選手との競った練習をこなし、山部だけでなく対戦が予想される全ての選手の研究も入念に行った。高校生の時から挑み続けたタイトルを手にし、「日本一になって堂々と代表に選ばれたかった」という目標をかなえた。

 ただし、全日本の南條充寿監督は「(両者とも)もう少し積極的なところを見たかった」と決勝の戦いぶりへの注文を忘れなかった。世界選手権では淡泊な試合ぶりで2年連続の銅メダルに終わっている。「リオでの優勝が目標。成長したところを見せたい」。三たび臨む世界選手権で、田知本の真価が問われる。

 ◆田知本 愛(たちもと・めぐみ)1989年(平元)1月27日、富山県射水市生まれの26歳。8歳から小杉少年柔道クラブで柔道を始め、小杉高から東海大へ進学して世界ジュニアなど数々のタイトルを獲得。世界選手権は5度出場で08、10年は無差別級、13、14年は78キロ超級でいずれも銅メダル。得意技は大外刈り。1メートル68、110キロ。左組み。

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