“大人の桃子”3差逆転V 「無理をしないゴルフ」で今季2勝目

[ 2014年11月3日 05:30 ]

今季2勝目を飾った上田は優勝トロフィーにキスをする

女子ゴルフツアー 樋口久子・森永レディース最終日

(11月2日 千葉県市原市 森永高滝カントリー倶楽部=6652ヤード、パー72)
 デッドヒートを最後の最後で制した。2位から出た上田桃子(28=フリー)が4バーディー、1ボギーの69をマーク。通算10アンダーの206とし、表純子(40=中部衛生検査センター)を1打差で振り切り、8月のCATレディース以来の今季2勝目、日米通算11勝目を挙げた。次戦のミズノクラシック(スポニチ主催、7日開幕)では大会3度目の優勝を狙う。
【最終R成績】

 ウイニングパットは4メートルだった。通算9アンダーで並んで迎えた最終18番。バーディーパットが真ん中からカップに転がり込むと、上田は右手を突き上げた。「ショットが良くない中、無理をしないゴルフで勝てたのは、もう一つ自分のプレースタイルを見つけられたと思う」。28歳がさらに一皮むけた瞬間だった。

 「ナイスパー」で波に乗った。7番パー4ではフェアウエーからの第2打を大きく左へ曲げた。ピン方向にはバンカーが待ち構え、ピンはグリーン左に切られていた。そのため、ピンまで30ヤードの第3打の落としどころはバンカーとピンの間の4ヤード四方しかなかった。首位の表と3打差の状況では絶対にスコアを落とせない。しびれる50度のウエッジでの一打は「10回打って1回できるか」という完璧なロブショットで1・5メートルにつけ、パーセーブ。8、9番の連続バーディーにつなげた。

 もともとロブショットは苦手だった。08年に米ツアー本格参戦した当初は粘りがある洋芝に苦戦し、アプローチのバリエーションを増やすことが求められた。すぐに練習に取り組んだが「最初の1、2年は距離と高さが合わず下手だった」という。それでも3年目から次第に身に付き「今はロブも転がしもできている」と海外での経験が血となり肉となり、主戦場を替えた日本でも生きている。

 ドローボールが持ち味の上田には不利な右ドッグレッグが多い会場で挙げた勝利は、07、11年に優勝を飾っている次戦のミズノクラシックへ向けての好材料にもなった。「残りの試合は相性のいいコースも多いし、勝負できる」と歯切れも良い。ミズノクラシック開幕前の5日には、今大会に姿を現さなかった母・八重子さんが65歳の誕生日を迎える。「残り試合は全部来てくれるので、また良い結果を出したい」。過去2勝の“お得意さま大会”で2週連続優勝を果たせば、それが最愛の母へのこれ以上ないプレゼントとなる。

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