小田龍一、5年ぶり美酒!無心で大会コースレコードタイ62

[ 2014年11月3日 05:30 ]

トロフィーとマイナビ杯を手に笑顔の小田龍一

男子ゴルフツアー マイナビABCチャンピオンシップ最終日

(11月2日 兵庫県加東市 ABCゴルフ倶楽部=7130ヤード、パー71)
 首位から出た小田龍一(37=Misumi)が大会コースレコードタイの62をマーク、通算21アンダーで09年の日本オープン以来、5年ぶりのツアー2勝目を挙げた。ボギーなしで1イーグル、7バーディーを奪取。シード喪失危機から復活し、「先生」と慕う池田勇太(28=日清食品)との“師弟”連覇を果たした。賞金ランク1位の小田孔明(36=フリー)、谷原秀人(35=フリー)が通算16アンダーで2位に入った。
【最終R成績】

 5年ぶりのウイニングパットを沈めた小田龍を喜びより先に不安が支配した。「勇太先生、待っていてくれるかな」。心配は無用だった。9歳年下の「先生」こと池田はグリーン脇で待機。真っ先に駆け寄った弟子は目頭を押さえた。

 「終わってから、“うわっ、62で回ったんだ”と驚いた」と無心で回った結果の圧勝だった。単独首位で折り返すと14番で1メートルにつけバーディー、15番パー5は8メートルをねじ込みイーグル、16番もバーディー。2位に4打差の最終18番パー5は狙った2オンこそ逃したが、バーディー締め。「わっぜか(凄く)うれしいです」と出身の鹿児島弁でインタビューに答える、最高の結末に仕上げた。

 デビューした02、03年は1Wの平均飛距離300ヤード超を誇った。04年から賞金シードを獲得し、09年には日本オープンを制した。順調な歩みが暗転したのは昨年。副鼻腔(びくう)炎を患った上にショットイップスにもなり、18試合中11試合で予選落ち。400万円余りしか稼げず、賞金シードを失った。日本オープンで得た5年シードが切れる今季も、1Wを5、6本試すほどで、9月末までで獲得賞金はわずか349万円だった。「シードから落ちたらもうこの場に戻ってこられないかも」と最悪の事態も覚悟した時、池田がシャフトについて助言するなど手を差し伸べてくれた。

 ホームコースが同じで小学生の時から知っている勝みなみの優勝も崖っ縁男を発奮させた。「調子が悪かったんで“教えて”って言ったりね。刺激になった」という。

 大会前の練習ラウンドで17番グリーン脇にある祠(ほこら)に150円のさい銭を供え「せめて予選通過を」と願った。それが一挙、3000万円を獲得。優勝スピーチでは「10回に1回でいいので小田孔明ではなく小田龍一を応援してください」とギャラリーにお願い。池田にも勝にも頭を下げる37歳は最後まで謙虚だった。

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