琴奨菊 カド番脱出へ王手!一転V争いも冷静「まずは1番」

[ 2014年7月20日 05:30 ]

<大相撲名古屋場所7日目>松鳳山(右)を寄り切りで破り7戦全勝の琴奨菊

大相撲名古屋場所7日目

(7月19日 愛知県体育館)
 大関・琴奨菊が無傷の7連勝でカド番脱出に王手をかけた。昨年の九州場所で対戦した際に重傷を負った因縁の平幕・松鳳山を一気に寄り切り、復活をアピール。ピンチから一転し、優勝争いを期待される存在になった。ほかに横綱・白鵬と平幕・高安の2人が全勝を守った。
【取組結果】

 自然と頬が緩む。無傷の7連勝とした琴奨菊は無表情で花道を引き揚げたものの、支度部屋では我慢できなかった。「うれしい」。糸のように目を細めた。

 松鳳山を圧倒した。鋭く踏み込んで左差し、右で抱える得意の形に持ち込み、息つく暇を与えずに寄り切り。「前に足が出ているし(土俵際で逆転技の)突き落とし、すくい投げがあることも頭にあった。冷静に対応できた」と自賛した。

 同郷、同学年というだけではない因縁がある。昨年九州場所2日目。押し出しで勝ったものの、一緒に土俵下へ落ちた際に右大胸筋断裂の重傷を負った。右で抱える力が弱くなれば、得意の寄りの威力は落ちる。まさに相撲人生の危機で、父の菊次一典さんに「土俵に上がるのが怖い」と漏らしたことさえあった。

 ケガから半年経過しても完全回復とはいかず、今年夏場所で5勝10敗と大きく負け越し。「先場所は開き直ったけど効果がなかった。今場所は開き直りを通り越し、腕が切れてもいいぐらいの覚悟になっている」。同じく大胸筋を痛めた経験がある師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)の指導で、6月から土俵でみっちり稽古を積んだ。しこ、すり足、てっぽうの基本動作で体をつくり直した。名古屋入り後は時津風部屋などへの出稽古も敢行。相撲勘も取り戻した。さらに師匠から「大関が頂点じゃない。もう一つ上がある」と横綱を目指すようハッパを掛けられた。

 覚悟が結果につながり無傷の7連勝。白鵬、高安と優勝争いのトップを並走する。本人は「とにかくあと1番」とカド番脱出に集中する構え。このまま無心で突っ走れば、優勝争いを盛り上げる存在になる。 

 

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