涙の決断 お父さん沙保里はW杯出場します 

[ 2014年3月14日 05:30 ]

父・栄勝さんが眠る棺を実家から運び出す吉田

 お父さんのためにマットに上がる!!11日にくも膜下出血で亡くなった吉田栄勝(よしだ・えいかつ)さん(享年61)の通夜が13日、三重県津市内の斎場で営まれ、栄勝さんの娘で女子五輪3連覇の吉田沙保里(31=ALSOK)は会見で、15日に開幕する国別団体戦W杯(東京都板橋区・小豆沢体育館)への出場を明言した。

 日本協会は14日の前日計量などを遅らせる緊急措置も発表。レスリング一筋だった父の教えを守ることを選んだ女王は、告別式後の涙を拭い上京する。

 最愛の父の死去後、初めて公の場に姿を現した吉田は、通夜の前に開かれた会見で「お父さんのことでたくさんの人にご心配をお掛けしてすみません」と頭を下げると、意を決したように正面を向いた。「レスリング一本で、なんでもレスリングを優先してきた人なので、このワールドカップは…」と一気に話し、絶句。号泣しながら「出場します!!」と表明した。

 11日の一報は「信じられなかった」。実家に戻ると道場内に安置された遺体に寄り添って2日間を過ごした。「話すのはいつもレスリングのことだった。初めて“ロンドンで肩車できてうれしかったよ”とか“お父さんがレスリングをやっていたから五輪3連覇や国民栄誉賞までもらえたよ”とか伝えた」。そこで目にしたのは、父の教え子たちが次々と弔問に訪れる姿。レスリング一色の人生を再確認し「出場して日本の優勝に貢献することを(父が)喜ぶと思う」と決意したという。

 「中3のとき手首にボルトが入っている状態でも出場しろと言った人。今回も出場しろと言っていると思う」。この気持ちに応えるように、日本協会は国際連盟に働きかけ、計量を14日の午後5時45分から同7時に遅らせる許可を得たと発表。これにより、午後2時に出棺予定の告別式には、最後まで参列することも可能になった。

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