レスリング 五輪存続へ切り札!カレリン氏入閣

[ 2013年2月17日 06:00 ]

国際レスリング連盟の特命指名理事に指名されたアレクサンドル・カレリン氏

 五輪競技からの除外問題で揺れる国際レスリング連盟(FILA)は16日、タイ南部のプーケットで理事会を開き、男子グレコローマンスタイル12大会連続世界一で「霊長類最強」と呼ばれたアレクサンドル・カレリン氏(ロシア)を特命の指名理事に迎えた。また、ラファエル・マルティネッティ会長(スイス)が退任し、ネナド・ラロビッチ理事(セルビア)が9月まで代行を務めることになり、レスリングの一大事に新体制で立ち向かう。

 五輪競技生き残りのために、国際連盟は“切り札”を投入した。この日の理事会では「霊長類最強」と呼ばれたカレリン氏を特命の指名理事に迎えることを決めた。同氏は現役時代、1メートル93の巨体と圧倒的なパワーを生かし、男子グレコローマン130キロ級(当時)で88年ソウル、92年バルセロナ、96年アトランタと五輪3連覇。世界選手権は89年から9連覇と無敵を誇った伝説のレスラー。レスリングが五輪に残れるかどうかの最終判断が下る9月のIOC総会に向け、同氏の知名度も“武器”にすることになった。

 レスリングが除外候補となってから4日。揺れるレスリング界を象徴するかのように、この日の理事会は緊急動議から始まった。マルティネッティ会長に対して、ロシア連盟などが事態の責任を取る形での辞任を要求。信任投票が行われ、1票差で不信任が上回った。代わりにラロビッチ理事が9月まで会長代行を務めることになった。命運を委ねられたラロビッチ氏は「大変な問題に直面しており、非常に責任を感じる。われわれが持つ全ての力とエネルギーを使い、レスリングが20年五輪に戻れるようにしたい」と決意を述べた。

 五輪存続に向けては対策委員会の設置が決まり、日本の福田富昭副会長がIOCへの対応などで中心的な役割を担うことになった。福田氏は「FILAが一丸となってIOCと話し合いに入ろうじゃないか、というところまでこぎ着けた」と前向きな感触をつかんだ様子。来月上旬にはラロビッチ氏がIOCのジャック・ロゲ会長に直談判するプランも浮上した。

 レスリングは5月29~31日のIOC理事会(ロシア)で、野球とソフトボール、空手、スカッシュなどの7候補と争い、そこで生き残れば9月のIOC総会に諮られる。理事会は17日も五輪問題を検討し、存続へ向けた具体的な方策を協議する。各国連盟とも一枚岩となり、奇跡の復活に向けて動く。

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