神鋼 9季ぶり決勝進出!懸命の守備で東芝振り切る

[ 2013年2月17日 06:00 ]

<準決勝 神戸製鋼・東芝>前半7分、相手を振り切りトライを決める神戸製鋼・正面(左)

ラグビー日本選手権準決勝 神戸製鋼31―29東芝

(2月16日 花園)
 神戸製鋼が9季ぶりに決勝進出を決めた。終盤にCTBフレイザー・アンダーソン(28)がフランカーとしてプレーする緊急事態も、3トライを奪った前半の貯金を生かして31―29で東芝の猛追を振り切った。24日の決勝(国立)で10度目の優勝を目指す。サントリーはパナソニックを26―13で退け、2年連続となるトップリーグとの2冠へ王手をかけた。

 総力戦にふさわしい懸命の守備だった。最大23点あった神戸製鋼のリードは後半33分に2点差に。しかも、その時にフランカーの橋本が負傷。入れ替え枠を使い切ったため、1メートル93、101キロながら本職はCTBのアンダーソンを代役で起用するピンチを迎えた。

 残り1分、東芝にPGでも許せば逆転負けを喫する場面でスクラムを選択。両軍最後の激突に、神戸製鋼の苑田ヘッドコーチは、思わずインカムのマイクを通じて叫んだ。「フレイザー(アンダーソン)、ロックじゃなくてプロップのケツを押すんや!」。ラインアウトもスクラムも初体験の助っ人だったが、聞こえるはずのない指揮官の声も通じ、必死で押し切った。直後にNo・8の前川がボールを抱えてラインを割り、ノーサイド。9年も遠ざかっていた決勝の舞台へたどり着いた。

 「もう一度、常勝チームになろうと1年目、2年目で土台をつくってきた。今年、日本選手権の決勝まで進めてチームのいいカルチャーができつつある」。就任3年目の苑田ヘッドコーチは言葉をかみしめた。

 V7以降も栄光の歴史があった。99、00年度と日本選手権を連覇。03年度にもトップリーグで初代王者になった。ところが、その日を境に常に4強の後塵(こうじん)を拝し、決勝はおろか、日本選手権に4年連続出場できない時期もあった。現役選手として浮き沈みを知る指揮官だけに、戦力がそろった今季に懸ける思いは強かった。

 決勝で対戦するサントリーには今季、トップリーグ、プレーオフではいずれも完敗を喫している。だが、神戸が日本選手権を最後に制した12年前はサントリーと史上初の同点優勝だった因縁もある。今の勢いを見せつけるためにも、相手に不足なしだ。

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2013年2月17日のニュース