帝京大時代だ!史上初4連覇 新生展開ラグビーで6T

[ 2013年1月14日 06:00 ]

<帝京大・筑波大>Vサイン2つで4連覇を表す帝京大フィフティーン

ラグビー全国大学選手権決勝 帝京大39-22筑波大

(1月13日 国立競技場)
 帝京大が筑波大に39―22で快勝し、82~84年の同大の3連覇を超える史上初の4連覇を達成した。昨季までの強力FWを中心とした攻撃ではなく、バックスに展開する新スタイルで計6トライを奪取。国立大初の優勝を狙った筑波大を圧倒した。早大、明大など名門校が低迷する中で、新興の赤い軍団が快挙を成し遂げた。

 FW一辺倒だった過去3年の面影はなかった。「赤い軍団」はFWとバックスが一体となってグラウンドを駆け回る。走って奪った6トライ。優勝回数と同じ4度、宙を舞った帝京大の岩出雅之監督は「前向きなチャレンジが進化につながった」と誇らしげに笑った。

 進化した姿を印象付けたのは前半19分の波状攻撃だった。自陣22メートルライン内側のスクラムからバックスに展開。風上でもあり、昨季までなら間違いなくキックを選択していた。CTB荒井が相手守備ラインを大きく突破。ラックから次々とパスをつないで、敵陣に入り込んだ。最後はSH流からパスを受けたSO中村が左中間へ飛び込んでトライ。つないだパスは13本。中村は「全員の気持ちが統一していたので、自信を持って自陣からチャレンジできた」と胸を張った。

 今季中盤までは、外国人を擁してフィジカルで勝るFW中心の攻撃で「面白くない」「日本の将来につながらない」との批判を浴びることもあった。きっかけは昨年12月の筑波大戦だ。相手FWの重圧に屈し、10―24で敗戦。「あの悔しさが力になった」とフッカーの泉主将は振り返る。新たに取り組んだのが、相手FWの体力を消耗させることを目的にしたボールと人の動きを止めない展開ラグビーだった。

 毎年メンバーが入れ替わる学生スポーツにおいて、4連覇は偉大な記録だ。岩出監督は言う。「クラブの質が上がっている。年々気づきが早くなる」。選手は全員寮に入り、食生活は栄養士によって徹底管理される。今季からは午後6時30分の夕食後、9時ごろから全選手で夜食として鍋をつつくようにもなった。「ケガをしない。風邪をひかない。体を大きくする」ための取り組みだ。寮生活ではあいさつやゴミ拾いなどを上級生が率先し、下級生もそれに倣う。規律ある生活が競技力にも波及し、選手は成長を続けた。来季は今年高校日本一となった常翔学園(大阪)のエース重一生ら有望選手も入部する。全てが好循環。グラウンドを走りまくった選手の充実した表情が、全てを物語っていた。

 ▽帝京大ラグビー部 70年創部。78年に関東大学対抗戦に加盟。83年に大学選手権初出場。96年に岩出雅之監督が就任し、強化が本格化したが、98年は部員の不祥事で公式戦出場を辞退。02年大学選手権で初のベスト4。08年対抗戦で初の1位。09年度に大学選手権初優勝から4連覇達成。大学選手権出場20回、優勝4回。日本選手権出場6回。チームカラーは赤。部員数146人。

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